200106 泊めていただく方の話を聞く
明日から稽古再開ということで、今日から村川さんを泊めていただける方のお家へ。私がつないだので、ごあいさつだけと思いつつ、ばっちり夕食までごちそうになってしまった(水炊きなど。本当においしかったです、ありがとうございます)。
思えば全てがいろいろなつながりでたどり着いている。
今日村川さんを泊めていただいている家の家主は、わたしのもと同僚の紹介でもあるが、同時に今回のキーパーソンでもある外国人介護労働者に関わる仕事をしている方とのつながりもある。
そして、障害のあるお子さんを持ち、地域のみなさんと一緒にさまざまな活動をされてきた方でもある。
障害のあるお子さん、と一言でいっても、実際のところはひとりひとり違う。この家主さんのお子さんは、何かにつけてよく動いたり、外に出て行ってしまったり、ということが長く続き、現在は今の家ではないところに滞在しているとのこと。しかし家主さんは、いつかは家に帰ってくることも想定した暮らしを続けておられる。
勝手口から寝ている間に突然出ていかないように、勝手口につながる台所に布団を敷いて寝ていた、という話。近所で何か普通ではない出来事が起こると、そうではないのにご近所さんから「あなたの子どもがやったのかしら?」と言われる、という話。ほかにもいろいろな話を聞いた。
なかでも、相模原事件のことを、ぽろっと言われたことは、じわっと残ってしまっている。
あの事件の犯人は、障害のある人たちのことを、生きる価値がない、と言った。そして、多くの人は、そんなことはない、みんな一人ひとりが尊い命である、と語る。
しかし私は、実際に障害のある子どもと向き合い、さまざまな思いをしてきた。さまざまな出来事を重ねてきた、という。
その親の立場からの問い。正確な文言は書き留めていないが、私は、こう聞いた。
では、あなたは。はたして本当に、さまざまな障害の、こだわりの、特性の、行動の、ある人と、あなたは、一緒に生きていけるのか、と。
ふと家の中を振り返ると、彼のしたこととおぼしき壁の穴、とくに大きな穴の場合は板でふさいでいるものも、見える。
その話を聞いた時に、即座には反応できなかった。
帰路について(車で駅まで送ってもらってしまった、ありがとうございました)、一息ついて、それでもなお思うのは、すでに一緒に生きている(=Living Together)ということ。
だがしかし、それでもすでに一緒に生きている、と感じられる境地というのもまた、実際に断絶を経験してからこそ生まれるものであるのかもしれない。
すでに一緒に生きているが、本当に、一緒に生きていけるのか。
その一緒に生きる関係とは、いったい何なのか。
ここまで考えて、ふと振り返ると、今回の作品のこととも、どこかでつながっているのかもしれないとも思った。
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■公演情報
村川拓也「タイトル未定(新作公演)」
2020年2月22日(土)〜24日(月祝)
パピオビールーム大練習室(福岡)
演出:村川拓也
ドラマトゥルク:長津結一郎
出演:ジェッサ・ジョイ・アルセナス
ある人の、仕事場での動き方や、そこで発せられる声や言葉から見える「現実」を手がかりに、舞台を使った作品を立ち上げる、京都を拠点に活動する演出家、村川拓也。福岡で介護福祉に関わる30名へのリサーチで彼が着目したのは、高齢者福祉施設でヘルパーとして働く、外国から来た労働者だった。異なる年代、経験、国——家族とも友人とも異なる「ケアをする/される」関係からにじみ出るコミュニケーションを、まったく新しい角度から描き出す新作。
チケット発売中。詳細はこちらから。
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