石巻 再生へ漕ぎ出そう。

石巻市は「20億円」の借金を背負った
宮城県にも責任がある。『バットの森』はなぜできなかったのか

石巻市はどうなっていくのか。トップの亀山市長は政治用語でレームダック(死に体)だ。19遺族23児童の国家賠償請求訴訟は最高裁上告棄却で宮城県、石巻市は敗訴。
賠償金、延滞遅延金、弁護士費用など20億5,600万円は宮城県が立て替え払いして石巻市が10年間で県に返済することが決まった。『最高裁判例』で大川小設置者の石巻市に支払い責任があり、県には責任がないというのだ。最高裁の上告棄却は2019年10月10日確定。村井知事、亀山市長の協議が行われ、亀山市長は10月15日の記者会見で「県が約20億5000万円を立て替え払いする。市は10年間で返済する」と発表した。
私は元河北新報の記者だ。74人の児童と10人の教師が大津波で亡くなった大川小惨事をジャーナリストとして取材してきた。責任者の柏葉照幸校長はどのような教員なのか。「病める「『海の町」・闇』を2016年9月、モッツコポレーションから出版。亀山紘市長、参謀役の浅野亨石巻商工会議所会頭が1兆2,000億円の復旧復興費をめぐる疑惑などほとんど私が書いた。ただし「石巻の再生を願って問題点、課題」を取り上げた。『最高裁判例』とは何か。無責任校長任命した県教委に責任はないのか。仙台高裁は宮城県沖地震に備えて大川小から700メートル離れた『バットの森』を避難先に市教委、大川小幹部教員が指定しておけば、74人の児童が助かった。学校の安全対策を怠ったという判決を下した。宮城県、石巻市は東日本大震災では予測できない大津波だとして上告した。
石巻市には43小学校がある。自宅に帰らず学校にいて津波で亡くなった児童生徒は一人もいない。大川小は50分間、48児童が校庭に避難、河北総合センターの広報車が「津波が来た。早く避難しなさい」と呼び掛けた。44児童か亡くなり、4人は行方不明。9人の教員が北上川三角地帯有に逃げさせようとしたが遅かった。平成28年に仙台地裁は判決を下した。宮城県と県、石巻市は控訴。遺族側も23人の児童が亡くなった真実は明らかになっていないとして控訴した。
仙台高裁は平成30年4月26日、大川小から700メートル離れた『バットの森』に批判さする対策を取っていれば大川小惨事は起きなかったとして、16億3600万円の賠償金判決を下した。県と市、遺族は最高裁に上告したが令和元年10月10日、最高裁から棄却された。
仙台高裁判決は74児童の津波惨事は宮城県と石巻市に責任があると判決している。ところが村井宮城県知事は、『最高裁判例』を理由にして、震災発生日から1日当たり26万円の延滞遅延金、弁護士費用など約20億5,600万円を遺族に対して宮城県から支払うという方針を、令和元年10月17日開催した宮城県議会全員協議会で説明した。
 「最高裁判例は平成21年に福島県内中学校で起事件について父兄と福島県が賠償訴訟になり、費用は学校設置者の郡山市、福島県は給与支払者であり、学校内について賠償金支払い責任はない」とした。村井知事は「石巻市は財政上厳しいので県が立て替え払いする。10年間で2億円ずつ返済してほしい」となった。石巻市は仙台高裁判決の検討を要請したが村井知事の意向を認めた形になった。
しかし、石巻市民の中から「20億円の借金を抱えるのは納得できない」「10年間2億円ずつ借金を抱えるのか」。判決には「宮城県の責任があること書いている」と、訴訟を提起する動きがある。
新型コロナウイルス感染拡大問題も持ち上がり安倍晋三首相は5月4日、緊急事態宣言を5月31日まで延長することを表明した。ワクチン、治療薬開発の情報もあるが先行きははっきりしない。緊急事態宣言がさらに続けばどうなるのか。
村井宮城県知事は全国知事会で9月新学期設を表明した。菅官房長官は「今はその時期ではない」と取り上げなかったが、大川小惨事の最高裁上告棄却について宮城県としての責任を検討してほしい。

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