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今更ながらのライナーノーツ④

さて、10年前にリリースしたアルバム「Heartful」の全曲解説を10年越しにしようという投稿数稼ぎ記事も、今回で最後になります。
これまで3曲ずつ、3回に分けてお送りしてきましたが、今回は最後の3曲をご紹介します。

↑No Music, No Life.


Track-10「雨上がりの空」

2010年の夏に作った曲。この年の7月に黒崎SECにソロで初出演することになって、その時に新曲として初披露しました。
この時期に作った曲はバラード系が多かったので、夏だし爽快感があるものが欲しくて書いたんじゃなかったかな。
夏とはいいながら梅雨時期に書いたので、梅雨明けの晴れ渡った空をイメージして、タイトルも「雨上がりの空」になりました。
そしてこの時期、警固公園で夜中にギター1本持っていって曲を作るみたいなことをよくやってて、この曲も夜中の警固公園で作ったんですよね。
それで出来上がったばかりの時にたまたま警固に来てた音楽仲間に聴いてもらって、その時に「1サビの前、1小節増やしたら?」とアドバイスをもらって、それがしっかり活かされているんです。まぁ、当の本人はそんなアドバイスをしたことも忘れてると思いますが。
SECで初披露して何度かライブを重ねて、4年後に音源化してまたSECで歌ったのは感慨深かったですね。
これは生バンドで収録しています。超王道のJ-POPサウンドなんですが、この曲だけアコギがダブルで入っていたり、ハーモニカが入っていたりと、自分のこれまでのルーツに近い音作りになりました。
あとこの曲がアルバムの中で唯一オルガンを使ってるんですね。王道なんだけど他とは違うエッセンスを取り入れられたと思います。


Track-11「Heartful days」

この曲はワンマンの他にも素敵なパフォーマンス映像を撮っていただいたのでそちらも併せてご紹介ということで。

そもそもこの曲が出来た経緯は、2012年に大名のライブバー・Shangri-laでミニワンマンをさせていただいた時に「Heartful songs」というライブタイトルを付けまして。
その時に新曲として作りたい気持ちはあって、「Heartful days」というタイトルも、サビのメロディーも何となくの歌詞も決まってたんですが、
その時は結局間に合わなくて、そのまま1年近くほったらかしにしてたんです。
で、1年半後に同じタイトルでもう一回ミニワンマンをすることになって、「今度こそ!」と思いながら作り上げていきました。
僕は25歳くらいまでは結構背伸びした言葉を使って歌詞を書いていたものが多かったような気がするんです。カッコつけたくて。
で、25歳を過ぎたあたりから歌詞に対する意識が変わっていった。このアルバムに入っている「理想郷」のようにもちろん狙ってカッコいい言葉を並べる書き方もするけど、「もっと等身大になろう」と。ありのままの自分を表せばいいじゃないかと思うようになった。そこから作詞に対する気持ちが楽になった気がするんです。
で、この曲はそういった意識のひとつの到達点のような気がします。この曲の世界には特別な出来事は何もないし、1年の中で300日くらいがこんな日かもしれない。
でも、そんななんでもない日常の中にあるささやかな幸せや温もりをずっと忘れないように・・・という想いが込められています。
トリミライトを経験して改めて感じたことですが、僕はもともと強いことを言える人間でもないし、そんな影響力は持ってないと思っている。
でも、自分の身近にいる人達にそっと何かを語りかけることで残せるものはあるんじゃないかと思っていて。そんな音楽家としての想いもこの曲で形にできた気がします。
この曲も生バンドで、でも特別奇をてらったことはせずに王道のサウンドに仕上げていきました。ストリングスを前面に出してはいるんですが、桑原さんのギターが本当にいい味を出してくれてます。間奏のギターソロとか泣けてきます。
そして印象に残ってるのは、この曲を最初に披露した時のみんなのリアクション。
「あの部分の歌詞やばいね!」と興奮気味に話してくる人がいたり、初めて聴いて泣いてくれる人もいたり、と。今までの曲の反応と全然違ったんですね。
自分としてはそこまで格別の気合を入れて書いたわけではなかったんですが、その反応を見て初めて、「もしかしたら、この曲はこれからの自分にとってのスタンダードになるのかもしれないな…」と感じまして、その時にCDのテーマが見えてきて、後に「Heartful」という作品になるんです。
自分自身の「これから」を示してくれた楽曲になったと思います。
そして10年経った今でもこの曲を愛してくれる人たちが本当にたくさんいてくれることが何よりの喜びだし、
「ちゃんとこれを超えれる曲を作らないと」と思わせてくれたりもするのです。


Track-12「道端交響曲(シンフォニー)」(Bonus Track) 

実は最初は収録する予定はありませんでした。というのも、これはソロ用に作った曲ではなくて、その時組んでいた即席ユニット「Hirotessimo」のオリジナル曲として作った曲なので、自分のソロのCDに収録しようとは思ってなかったんですね。
ただこの曲も結構評判が良くて、ソロで歌ってても歓声が上がるほどのリアクションをもらえるほどの曲になっていて。
だったらやっぱり入れたいなぁと思って、それで本編とは違う立ち位置で「ボーナストラック」という名目で収録することにしました。
曲の内容としては「路上賛歌」とでも言いましょうかねぇ。
「雨上がりの空」のところでも言いましたがこの時期よく夜中の警固公園で歌ってたんですよね。
それは僕だけじゃなくて、ひろしだったりテッチャンだったり(この3人がのちの「Hirotesseimo」です)、遊びに来てくれた仲間だったり。
特に制約もなく、みんなでギターを持ち寄ってただただ歌いたい歌を唄いたいように唄うというこの時間がとても愛おしくて、
そんな路上の雰囲気をパッケージした曲を作りたいなと思って書いたものです。
そしてこの曲が出来た時、先述した二人に聴かせたらとても気に入ってくれて、それからこの3人の持ち曲になった、と。
その時の編成がギター二人とカホンだったのもあって、この曲の雰囲気とさらに相まって皆さんにも覚えてもらえる曲になりました。
根本としてみんなやっぱり路上が好きなんだなぁというのがよく分かった。
ただ、この曲に出てくる路上の雰囲気は14年前のもの。今はもう全然違うんだろうなぁ。
そして今回は「ボーナストラック」として収録するので、本編ではやらないような特別なことは出来ないかな・・・と思って。
最初は何かのライブテイクをパッケージしようかと思ったんですが、せっかくだったらこのために人を集めて一発録りできたら面白そうだなと思って、思い付き半分で桑原さんに相談したら「いいんじゃない?」と乗ってくださって。
それでスタジオにお客さんや音楽仲間を集めて、ライブレコーディングを行いました。
手拍子やラララを一緒に歌ってもらって。「そういうのが出来たら楽しいだろうな」と空想はしていたものの、まさか実現できるなんて思わなかった。
もちろんそれは桑原さんをはじめ、協力してくれた皆さんのおかげです。
今考えても、この曲は普通に各パートがバラバラでレコーディングしてもその良さは出し切れないので、このやり方は大正解だったと思います。



ということで、長いことお付き合いいただきありがとうございました。
「そういえば発売して10年経ったし・・・」という軽い思い付きで始めたライナーノーツでしたが、
書きながら当時のことをいろいろ思い出したりして、自分の中でもいい時間となりました。
今は自分で歌うというよりは人に歌ってもらうための曲を作ってるのでまた歌詞とか曲の意識は変わってるんですが、
ある意味でこのCDが「シンガーソングライター」として一つのゴールだったんじゃないかと思います。
多分もうこんなに気合入れたCDを作ることは無いでしょうからねぇ。
各配信サイトやネットショップで販売されてますので、興味持っていただけた方はぜひ聴いてみてください。
下記YouTubeで視聴もできます。よろしくお願いします。

ということで、4回にわたった販促活動でした。ではまた。


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