GRIS考察#03 GRISのステージ内で集める光の意味を考える

注意:ネタバレ要素あり。隠しムービーについての記述があります。知りたくない人はゲームの収集要素をすべて集めてからから読むことをおすすめします。

あなたは暗闇の中に漂うホタルの光を実際に見たことがあるだろうか? まるで夢のように音もなくスローモーションで舞う光の粒、小さくて儚く、美しい光・・・。

GRISでは進行上フィールド内の「光」を集めることにより、通れなかった場所に光の架け橋?のようなものが出来て、渡れるようになる。光の球が重要なアイテム。

光を集めた後にステージクリアすると、巨大な女性の彫像の手のひらでGRISは覚醒したかのように弾けて光を放ち、失われた色を取り戻し次のステージに進めるようになる。

またクリアに必要な小さな光とは別に「形見」と呼ばれる、タイトルロゴのような形状を模した特殊な光が隠されている。いわいる「隠しアイテム」で特に集めなくてもゲームの進行上は関係なく、クリアできる。

「wikimedia commons」から引用。

隠しムービーを見てから、前回の「#02手のひらの考察」を経てしばらくして気がついた。お母さんの手のひらにあるのはホタルの光。ホタルの光というのは、幼い頃のGRISとお母さんとの幸せの日々を象徴するもの。その頃のGRISはお母さんの愛情に守られ、傷つくこともなく天真爛漫に育っていた。何らかの理由で、GRISは若くしてお母さんを亡くしてしまう。傷ついたGRISは喪失感を抱えたまま廃墟のようになった自分の内面世界・精神世界を彷徨うこととなる…。

ステージ内の光は失われたGRIS自身の壊れた心のかけらのメタファー。ステージ内をさまよい、光を取り戻すことで、GRISは自分自身を取り戻していくのだ。

GRISが彫像の手のひらに行くことによって、GRISとお母さんと繋がっていた愛情や幸せを取り戻せているということかもしれない。ステージ内の巨大な女性彫像はGRISのお母さんであることはほぼ間違いない。ここでのGRISはさながらホタルの光といったところか。

しかし、ここでまた新たな疑問が生じる。おそらくGRISのお母さんは亡くなったのであろう。問題はこれでGRISが明日から立ち直って新たな人生を歩むとか、前向きに生きていくというふうにはなっていないところにあり、そんな単純な話ではないことに、驚愕するとともにさらに謎が深まっていくのだ。これには明確な理由や根拠があり、疑う余地がない。

また別の機会にその部分を深堀り考察していくだろう。

それはおそらくGRIS自身も死に向かっているのだろうということだ。


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