見出し画像

散歩するカメラ・リターンズVol.8「アンドレ・ボーシャン+藤田龍児展」

「牧歌礼賛/楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン+藤田龍児展」@東京ステーションギャラリー

考えてみたらコロナ騒動の影響もあり2年近くちゃんとした美術展を鑑賞していなかった。(そもそもあまり開催されていなかったのもあるだろう)都心にはたまに出かけていたのですが。

こちらの東京ステーションギャラリーも、いつも前を通過するだけで気にはなっていたけど、一度訪れてみたかったこともあり、始めて訪れてみました。

正直、展示されている画家の方は名前も存じ上げておらず、初めて見る絵ではあったのですが、自分のセンスや鑑賞眼を養うため、あえて飛び込んでみました。都内で鑑賞できる美術館を考えたとき、こちらがアクセス的には一番ですからね。場所は東京駅構内、丸の内北口のすぐそばです。

藤田龍児氏の絵について感想

個人的にはかなり好みの絵を描かれる方。素朴なタッチなんだけれど、風景画にしても、何気ない住宅地や自然の中に工場や鉄道などが現れたり、モチーフが秀逸。近づいてよく見ると、植物の葉脈を神経症的に描き込んでいたり、「ねこじゃらし(エノコログサ)」と呼ばれる植物を好んでモチーフにしていたらしいけど、房の毛を描き込んでいたりと意外に緻密で細かく興味深い。ハッとするような色彩感覚が抜群。この分析が正しいかどうかは分からないけど、グラフィックやイラストレーション寄りなので特に好みに感じるのかもしれない。

アンドレ・ボーシャン氏の絵について感想

アンリ・ルソーに近いような素朴さを感じる。藤田龍児氏とはまた別の素朴さ。主に植物や自然を題材にしていて、他にも神話っぽいようなモチーフも扱うんだけど、特に人物描写のチグハグさが凄い。誤解を恐れずに言えばいわゆる「ヘタウマ」。タッチは細かく描き込まれているんだけど、リアルではない。建築家のル・コルビュジエやピカソなども評価していたらしい。自分は上手くかけないからと、絵を描くのをためらっているのだが、絵というのは本当に自由で、こういった画家も歴史的に評価されている。ならば自分も楽しみや癒やしのために絵を描いてもいいんじゃないかと思えてきた。

※ ※ ※

飛び入りのような感じで、前情報もなくあまり期待せずに入った展覧会ではありましたが、思わぬ大きな収穫があり立ち寄ってよかったと思えました。ギャラリー内の雰囲気も、東京駅のレンガを生かした内装になっていて一見の価値ありです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?