インディーゲーム "GRIS"考察#4 「GRISの音楽について」

GRISのゲームミュージックとミュージシャン・Berlinistについて考察

普段いろいろなエンタメを漁っています。面白くて、悪くないものもたくさんあるのですが、やはりGRISを超える感動作品には今の所出会えていません。

このGRISというゲームにとって、ゲームサウンドを担当しているBerlinistの存在は無視できなでしょう。この素晴らしいゲームのクオリティーを相乗効果でゆるぎのないものにしたバンドです。このゲーム自体、「声」というものが重要な意味を持っています。だぶん製作者側も音楽には相当気を使い、心を砕いた部分でしょう。

個人的には全く知らず情報のないバンドだった。スペインでは有名なのだろうか? ただ閉鎖的な日本の音楽シーンでは知られていない・情報が入ってこないというだけで、EU圏では知られた存在なのかもしれない。私はマニアックなまでの音楽批評家ではないですが、いち音楽好きとして感じられるのは、これほどゲーム内の世界観に寄り添い、忠実に描き出すことが出来ている点で、間違いなく実力派のバンドと言い切っていいに違いないでしょう。プロデューサー的なことも行っているのかもしれません。

個人的に印象に残っている楽曲(順不同)
●Komorebi…ゲームステージ的にも森のステージが一番癒やしが感じられて楽しいのだが、楽曲もピッタリハマっている。エレピの音色が良い。ずっとこの世界の中にいたくなる。ストリングスの音色も印象的。木漏れ日? GRISの楽曲では日本語と思えるタイトルが数曲あるが、Berlinistが日本びいきなのだろうか?だとすれば嬉しい。

●Gris, Pt.1…オープニングテーマ的な楽曲。女性の美しいコーラスが印象的。このゲームでは、「声」「歌」もゲーム上で重要な意味を持つ。壮大なスケール感と、楽曲ラスト近くどうしょうもない喪失感を感じさせて一気にゲームの世界に引き込まれる。メインテーマとして奏でられる旋律は、様々なシーンで変奏されて、このゲーム世界全体を彩る。

●Perseverance…序盤の砂漠・廃墟のステージでの音楽。淋しげなピアノの旋律の合間に嵐のようなオルガンの音色。バロック音楽の雰囲気も感じる。Berlinistにはきちんとしたクラシカルな素養や音楽理論を学んだ形跡が感じられて、それらが説得力を持って聴くものの心に訴えかけてくるのだ。

●Environments…緑のステージの後半から聴ける音楽だが、ここでもエレピの音色の他、ケーナっぽいような民族楽器的な笛の音色が印象的。高原の中を彷徨うような浮遊感のある音楽となっているが、ゲームの進行上も2段ジャンプが可能になり上へと上昇していくような設定になっている。

全部語っているときりがないのですが、ゲームをクリアしたときに流れる「In Your Hands」は涙なくしては聴けません。

GRISは何気ないシーンのSEや効果音なども良く練られていて印象に残ります。使用されている音色は弦楽器やピアノが多いですが、シンセサウンドやコンピューターもさり気ない形でゲームの世界観を邪魔すること無く使用されていると思われます(情報があったわけではないので想像ですが)。このゲームにとって、最良の音楽家とのマリアージュが奏でられたという幸福をゲームを楽しみながら耳でも享受していきたいものです。

GRISの音楽はSpotifyで全曲無料視聴可能。

そしてゲームの発売からしばらく後リリースされた「GRIS Piano Collections」というアルバムもあり、オリジナルサントラのイメージを壊すこと無くピアノアレンジすることに成功しています。ピアノアレンジは別の人が演奏、編曲しているもののようです。(クレジットにDavid Peacock、Augustine Mayuga Gonzalesの表記あり)

(必ずや続く…)


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