見出し画像

『ちゃんとやらなくては』に、乗っ取られる

「ちゃんとやらなくてはいけない」

という気持ちが強く働いて、
無性に苦しくなることはありませんか?

今回は、その気持ちに乗っ取られて、
人生のパターンになってしまった人のお話をしましょう。


A雄さん(46歳)は仕事が忙しくなり、
趣味のサークル活動を欠席しがちになってきました。

仲間が日程を合わせるなどの、配慮をしてくれればくれるほど、
そんな温かい彼らに応えるためにも
「ちゃんとやらなくてはいけない」
という気持ちになりますが、
仕事が忙しくて時間が取れない。

「ちゃんとやらなくてはいけない」
でも、ちゃんとできない状況だ。
でも、「ちゃんとやらなくてはいけない」

という気持ちが心の中でぐるぐるして、
サークルに関わっているのが
苦痛になってきたそうです。


ここで彼が感じている
「ちゃんとやらなくてはいけないので苦しい」という気持ちは、
本当は、過去の誰かとの関係で感じた気持ちです。

要点は2つです。
 1. 今感じている気持ちは、過去の誰かとの関係で感じた気持ちである。
 2. にもかかわらず、今のメンバーへの気持ちだと勘違いしている。

同じ状況にいる仲間たち(サークルや職場の人)も
社会人としてそれぞれが都合をやりくりしていると思いますが、
A雄さんのように「苦しい」気持ちにはなっていません。

A雄さんが、その状況を「苦しい」と感じるのは
過去の誰かとの気持ちに、乗っ取られているからなのです。

苦しみの原因は、過去の誰かとの関係で生じた気持ちなので、
あなたの中に常に存在しています。
たとえ今の相手と別れても、他の人に対して出てきます。

この「ちゃんとやらなくてはいけない」という気持ちは、
A雄さんの人生で、何度も出てくるパターンになっているはずです。



過去の、誰と接しているときに
「ちゃんとやらなくてはいけない」と
感じていたのかなぁ…?

こうして過去の誰かとのことを思い出しているうちに、
A雄さんはひとりでに催眠状態となって、
あの頃の状況に心が入り込んでいくようです。

「この苦しさは、小学校高学年のあたりから感じていました」

母は言葉では言わないものの
いろんなものを僕に要求していました。

僕は一生懸命それに応えていた…。

「勉強は、いい大学とか入んなくてもいいから」と言う反面、

「ただ、学歴が低いと社会で苦労するよ」とか、

「おじいちゃんは東大卒で、弁護士で」とか、
そういう話を聞かされて、

「僕もちゃんと、そういう風にしなくちゃいけないんだな」って
間接的に要求されている、と僕は解釈していた。


夫婦仲が悪くて父が家を出ていってしまい、
「こんな酷い家に生まれて申し訳なくて、
あなたの足を引っ張りたくない、と思っているの。

だから、ほんとは部活も、友達関係も、遊びも、
全部充実してほしいんだけど、

それができない環境でごめんね」って母に言われて、

僕としては、
「そんなことないよ、ちゃんと僕は全部楽しんでいるよ」って
言わなきゃいけなくって、

そこも頑張らなきゃいけない、
みたいな感じだった。


今思うと、
「あれは、苦しかったんだな…」

A雄さんは涙を流し始めました。
その頃のお母さんとの間で感じた
たくさんの苦しい気持ちが、
少しずつ癒されていきました。



彼と母親との関係で、
「苦しさ」を生み出していたものは、2つありました。

1つは、言葉とは裏腹な母親の本心を、彼が慮り、探らないといけなかったこと。
2つめは、母親の期待に対して、「ちゃんとやらなくてはいけない」と、
彼が自分自身の気持ちを犠牲にしてしまったこと。

これと似た感じが
今のサークルでも、職場でも起きている、と彼は言います。

サークルでは、
みんなが僕の日程に合わせようとしてくれるので

誰からも言われてないけれど、
「このサークルでは連帯感が大事なんだろうな」
と勝手に思って、

自分も
「連帯感を乱さないように、ちゃんと出席しなきゃいけない」
みたいになっていた。

職場でも、
言葉になっていない要求を勝手に読み取って、
「ちゃんとやらなくてはいけない」みたいになっている。

たとえ、どう頑張ってもできない状況でも、
とにかく「ちゃんとやらなくてはいけない」
という気持ちになってしまうので、
どんどん苦しくなってくるんです。

A雄さんは、
「今のサークル仲間や職場の人達のせいで、
僕はこんな苦しい気持ちになっていると思っていました」
と言いました。

お母さんとの関係で感じていた過去の気持ちに、
今の自分が乗っ取られていたなんて、
考えもしなかったそうです。



彼から後日、
「相変わらず忙しく、
時には仲間に迷惑をかけてしまうこともあるけれど、
以前のような、苦しい、切迫した感覚にならないのが
本当に不思議です」
という報告がありました。


私たちが大人になってから、
何か強い気持ちを感じるとき、
そのほとんどが、
『過去の誰かとの関係で感じた気持ち』です。

過去の気持ちに、乗っ取られています。

これは過去のトラウマの影響ではなく、

過去の、嬉しい気持ちや、こだわり、欲望などにも
乗っ取られます。


でもA雄さん同様、
私たちは『感じている気持ち』だけ自覚して、
感じさせている『過去の人』は無意識になってしまっています。

だから
今、関わりのある人から、この気持ちを感じさせられた。
という感覚になってしまいます。

過去の人との気持ちだといわれても、
最初はなかなか納得できません。

「いいえ、今のこの人のせいです。
だって、こんなことをされたんですよ」となります。

そして、自分が楽になるには、
その人の言動を変えてもらうか、
その人から離れるしかないと思います。


しかし「過去の気持ちだ」と、
簡単に見分けるポイントがあります。

人生で、何度も何度も出てくる気持ちだとしたら、
それは、過去の誰かへの気持ちです。

何度も出てくる、怒りや、悲しみや、怖れ。

その本当の原因は、
過去の誰かとの間で感じた気持ちなので、
それが癒されるまでは
たとえ人間関係や環境を変えても、
あなたが苦しくなる、そのパターンは続きます。


中島勇一の最新情報はこちら


こころのことでお役に立つ情報や、中島勇一の提供する
サービスや特別な情報を中心にお届けいたします。
是非、登録しておいてくださいね。

メルマガ
 http://heal-hearts.com/magazine_form/

LINE公式アカウント
 https://lin.ee/GttQIoz

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?