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ルースターズのこと

ザ・ルースターズはミッシェル・ガン・エレファントらにも影響を与えたバンドとして、日本のロック史に残るバンドであることに異論のある人は少ない、はず。中でもめんたいロックと当時言われた初期3枚はどれも彼らの名刺代わりになるような作品だと思う。

疾走感と熱さがたまらない1st、楽曲の幅が増え、楽しくすら感じる2nd、かっ飛ばす前半に翳りと深みを見せる後半のバランスがたまらない3rd。どれも本当にかっこいい。自分が生まれる前の日本にこんな音を出すバンドがあったのかと驚かざるを得ない。

ただ、個人的には大江慎也の悪化する精神状態が詞にも曲にも表れ出し、ネオアコ、ニューウェイブに接近していった中期(『DIS』〜『Φ』)の時期が特に好き。以前、「精神が崩壊しきった後の美しさを描いたような『Φ』と、魂が浄化されていく過程を描いた『DIS』」みたいなレビューをアマゾンで目にしたのだけど、中期ルースターズを的確に表した文章だと思った。

そして最近は最終作『FOUR PIECES』の圧倒的なかっこよさにハマっている。大江慎也の脱退後、ボーカルは花田裕之に交代して数枚のアルバムを出した後、リズム隊も交代して臨んだ最終作。ドラムの音が、叩き方が、すごい。聴いててこんな気持ちいいドラムはなかなかない。そして、並べられた楽曲のバラエティ感。これは2ndが持っていたバラエティ性とは全然違って、言うなればブルーハーツの最終作『PAN』にも通ずるものがある。花田裕之とギターの下山淳の志向の違いが如実に表れていて、下山が自作曲のボーカルを執る曲が10曲中3曲もあるし、ほんとにおんなじバンドの曲なのか? ってくらい曲によってカラーが違う。新メンバーのリズム隊2人もレコーディングの様子を「ソロアルバムを2枚作っているようだった」と話していたそうだ。
とは言え、このアルバムに漂う雰囲気や充実感はとても好き。

初期、中期、後期で全く違う顔を見せるルースターズはほんとに飽きない。2枚のトリビュート盤もメンツ、演奏ともに素晴らしい。


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