見出し画像

ドラゴンはレベルをMAXにしてから倒しに行くし、 エリクサーはぜったいに使わない。


子供の頃、RPGが好きだった。

街の周りでもくもくとモンスターを狩ってレベルを上げ、たまに宿で回復して、不意に殺されることがなくなってきたら、次の街へ。

以前は手強く感じていたモンスターを弱く感じる時、
大きく見えたオヤジの背中が小さく見える時、
ヒトは成長を憶えるのかもしれない。

だからRPGは本当に冒険だし、
子供の頃の僕は、
2次元世界のさすらい人だった。


そんなさすらい人は、2018年の3月に
5年間お世話になった東京藝術大学(音楽学部作曲科)を卒業した。

1月に卒作を提出し、
3月上旬に仕事でSXSWで展示して(Qiita記事)、
3/24-25にクマ財団の作品展覧会があって、

忙しさにかまけて気がついたら、
2018/04/01の僕は
仕事もなければ所属もない
3次元世界のさすらい人にランクアップしていた。(芸大ではよくあること。)

そこで、慌ててフリーランスエンジニアとして
生きる為に仕事を始めつつ、
並行して様々なプロトタイプを蓄積した。


開業届を出してから初めて売り上げがたった7月までの3ヶ月間は、
月の収入が10万前後で本当に死ぬかと思ったけれども、それ以降は大体、
週3ぐらいで仕事をして50万ぐらい、
週7で仕事をした月は120万ぐらいには
経済的に自立することができた。



新卒フリーランス1年目としては充分すぎるぐらい貰っているように見えるけれども、
ふしぎなことに様々な理由で
お金が消えていく。


ほとんどギャグだけど、
残高がサンキューになったこともあるし、
実際、今もお金はギリギリだ。

なので、これまでも、これからも、
仕事は頑張らなければいけない。




閑話休題。




2017年の暮れに書いたブログ記事の中で、
なんで芸大生の僕がプログラミングを始めて、
そしてこれからどんな音楽を作っていきたいか記した。

今でも志は変わらないし、
クマ財団の作品展でライブコーディングで披露した音楽は、これまでで一番自分のやりたいことが体現出来て、とても満足した。


その一方で、
音楽家として、エンジニアとして、
両面で自分の実力の限界を感じ、
心のどこかで2次元世界のさすらい人


『そろそろレベル上げした方がいいんじゃないの?』


そうつぶやいた。
だから、



この一年はずっとレベ上げしてた。




(、、、作品つくってねぇ)




音楽面では、
ちょくちょくと編曲や小品を30曲ぐらい作りつつ(非公開)、
音楽家の基礎に立ち返って、
音感を鍛えなおした。

そもそも振り返ると、
僕が絶対音感を身につけたりソルフェージュ教育を初めて受けたのが、
18歳ぐらいの頃。

(当時は『絶対音感は5歳ぐらいまでに身につけなければいけない』というエセ科学が出回っていたけれども、
しばらく頑張ったら身についたので、
みんな、諦めてはいけない。)

話を戻すと、
これまでの自分の耳は、平均律で調律された楽器で鳴らされた音が(単音でも和音でも)だいたい瞬時に判別できる程度。

これぐらいの音感だと、芸大のソルフェージュだと上級クラスになるし、
普通の音楽は問題なく聞き取れる。

んだけど、
そうなんだけど、


それじゃダメなんだ 、 、 、



雑に説明すると、今は
『ミ』や『ファ』の音は聞き取れるけど、
『ミ』と『ファ』の中間の音も聞き取れるようになりたい。

そこで、微分音を鍛えられるアプリや教材を国内外探したが、全然見つからなかった。
だからまずは自分の耳を鍛える為に、
WEBアプリを作った。


これが効果抜群で、
数週間、電車の中で遊んでいたら、
同時3音ぐらいまでなら、
だいたい正確に聞き分けられるようになった。

ちなみに、そもそもなんで音感をもっと鍛えたかったかと言うと、
僕の尊敬している音楽家である、Jacob・Collier氏が楽曲中でバンバン微分音を鳴らしてて、それがめちゃくちゃ美しいのに、
自分の耳ではそれを分析できなかったから。

今後は、純正律やピタゴラス音律も耳で覚えて曲中で適切に使い分けられるようになりたい。




それから、エンジニアとしても様々な心境の変化と成長があった。


まず、今まで一度も客観的に英語力を証明できる試験を受けたことがなかったので、真面目に準備してTOEICを受験した。

受験する上では当然満点を目指して本気で取り組んだけど、結果はかなり残念だった。

5%の問題を外したということは、僕が普段読んでいる英語のドキュメントも、ミーティングで話している英語もきっと5%程度はニュアンスを掴みとれていないことになる。

僕は将来的には欧米で働きたいので、時間をかけてこの5%のハンデを0%にして行きたい。



仕事でないところで大きな出来事としては、

Max 8がリリースされてそこにNode.jsが載ったので、いち早くハンズオンしてQiitaで記事を書いたり、TwitterやFBで作った物を共有していたら、

開発者の人がメールでアドバイスをくれたり、
作ったものを公式リポジトリに追加してもらえたりした。

今までは誰かの作ったシステムを
享受する立場だったけれども、
大した物ではないにせよ、
誰かが喜んで使ってくれる物を
与える経験が出来て本当に嬉しかった。


オープンソースって素晴らしい。



それから、
10月頃から仲間と「もくもく会」をやるようになった。
今のところ毎週欠かさず、毎回10時間ぐらいやって、週報もつけている。

特に話しながらやるというでもなく、始めは2人で集まってもくもくと作業しては、たまにフィードバックをもらう程度で始めたけど、

1週間に1度、
仕事を絶対にしない覚悟で1日空けておくと、
プロトタイプが非常に捗るので、
どれだけ忙しくてもこれは継続したい。



あと最近、気づいたことがある。



この世界はMMORPG(オンラインゲーム)なのかもしれない。


僕は大抵のことは、適度に学習する時間があれば自分で出来るようになると思ってる。
(ただし、絵は無理だ。来世に期待。)

時間を節約して仕事を効率化する為にストイックモンスターになった僕は、

布団を捨て、

(ソファで寝れば、起きてから3秒でパソコンに触れる。)

LINEを辞め、

(人間は意外とLINEをやめても死なない。連絡がFBメッセンジャーに集約された。)

昼食をCOMP(グミ状の完全栄養食)にした

(昼を食べても眠くならないゾンビの誕生。)


1人で最強の戦士になろうとしていたので、
1年でかなり強くなった反面、

布団がないから、背中が痛いし、
LINEがないから、いつも1人だし、
COMPは、食事の楽しさが分からなくなった。


ホモ・サピエンスとして
やばいなと思っていたら、
他の戦士たちに出会った。


パーティーって強くね?


そういえばむかし僕は、
エリクサー(回復薬)を使いながらギリギリでドラゴンを倒してしまって無限の後悔に苛まれるくらいなら、
『レベルをMAXまで上げてから確実にブチのめしに行きたい派』の勇者だった。

でも、互恵的なパーティを組めば、
レベルをMAXにしなくても、
エリクサーを使わなくても、
ドラゴンを倒せるのかもしれない。

大きな発見だった。


そうかぁ。




2019年。





ドラゴン、待ってろよ。



わくわく。





2019年 元日
余湖 雄一

https://twitter.com/yuichi_yogo



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?