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ゆういちの一生 第15話「大いなるごっこ遊び。」

ゆういち15歳、高校1年生。

ゆういち15歳。
高校1年生になりました。

隣の市の観音寺市にある公立高校に通います。
ここには、砂浜に「寛永通宝」というお金を砂で作った銭形砂絵があります。
「銭形平次」のドラマのオープニングの歌の時に写っていたりします。

そのあたりまで10kmの距離を自転車で通います。
海沿いの道を走るのですが、特に帰りは怖い。
自転車に乗っている自分の右側は車が走り、
左側はガードレールがあってその向こうは崖で海。

大人になってからその道を車で通りましたが、
よく事故なく走れたものだと感心しました。

中学の頃の友達のプルーくんと一緒に学校へ通います。
待ち合わせ場所は、山のふもと。

ん?

ということは。
この頃、おばあちゃん家に引越しをしまして、
めでたく、プレハブ生活から脱出しました!

しかし、僕が待ち合わせ時間に遅れるものだから、
ある日から、プルーくんから別々に行こうと言われてしまいます…。

柔道部。

部活はプルーくんと一緒に柔道部に入りました。
プルーくんに「高校生になったら体を鍛えて強くなった方がいい」と言われて。

柔道部の先輩は強かったらしくて、
3年生はみんなガタイが大きく「柔道やってます」という感じです。

2年生は一人しかいなかったかな。
顔がシルベスタスタローンに似ているので「シルベさん」と呼ばれていました。
体は小さいけど柔道が上手で強かったです。
そして性格がいい。

よい先輩に恵まれ、ひ弱なゆういちはちょっとずつ体を鍛えていきます。

ガクラン

学生服は学ランです。
当時は「ビーバップハイスクール」というマンガが流行っていたこともあり、
進学校でも、短ランやボンタンを着ている人がほんのたまにいました。

誰かに連れられてヤンキー専門の学生服店に学生服を買いに行きました。
リバックスというメーカーのやつで、
校則の範囲内で裏地の色やズボンの縫いがかっこいいのを選んで買いました。

中学校までは、同じ町に住んでいるから同じ学校という風だったのですが、
高校からはみんな進路が全く違うので、学校が別々になり、
中学まで付き合っていたヤンキーみたいな子たちとは全く関わることがなくなりました。
周りが変わったからか、授業の美術ではまた絵をきちんと描き始めました。

呼び出し。

そんな生活をしている中、自宅に中学の頃の知り合いから電話が来ました。

「〇〇さんが怒っとったぞ。」

その〇〇さんも聞いたことのない名前でした。
で、その〇〇さんが怒っているから観音寺市の指定の場所に行くように言われました。

ああ、これは殴られたり金取られるやつかなと思い、
金を少しだけ持ち、暴力を振るわれた後すぐに病院に行けるように保険証を持って、
その指定の場所へ向かいました。

家から10kmの距離を自転車に乗って。
観音寺市の港の方へ。

着くと、2人いました。
二人とも知らない人。

「あいつか?」
「そうです。」

みたいな会話をしていて、
「ん?怒ってるのに僕の顔知らないの?」
って疑問に思いました。

で、話しかけてきました。

内容はあまり覚えていないのですが

「学校どこ通っとん?」
「観一です。(観音寺第一高校の略)」
「部活は?」
「柔道部です。」
「お前、強いんか?」
「いや、僕は弱いです。学校は強いみたいやけど。」
「先輩は強いんか。」
「はい。」

で、それで、終わりです。
殴られもしないし、金も盗られませんでした。

そして、それ以降、こういうことはなくなりました。

後から考えると、このヤンキーたちは、
柔道部の先輩が怖かったので、僕に手を出してこなかったのですね。
プルーくんと一緒に柔道部に入ったことが、違った意味で役に立ちました。

ただの流行りだった!

このようなヤンキーみたいな人たちは当時たくさんいたのですが、
これもただの流行だったのでしょうね。

短ランもボンタンもカツアゲも呼び出しも
「ビーバップハイスクールごっこ」
だったのだと思います。

流行りだし、ファッションなので、
本人が強いわけではなく、むしろ弱い人たちです。

だから、自分より弱いものを探し、
弱いものをいじめるとかしかできないわけです。
弱い者には強く、強い者には弱く、ですね。

大人になっても、暴力をふるうとかはなくても、いじめがあったりしますね。
もし、この文章を読んでる方の中にいじめられている人がいたら!

いじめる奴は弱い者いじめしかできないので、弱そうにしないことが大切です。
やられっぱなしにして抵抗もしないで、相手がいつかやめるのを待っても無駄です。
相手は「あ、こいつ抵抗しないんだ。」と思って安心して続けます。
やり返す必要はありませんが、強い気持ちで対応しましょう。

尿道下裂は...

さて、中学の頃に発症した「尿道下裂」ですが、
治ることもなく続いています。

学校でパンツを濡らすこともできないので、
立っておしっこをすることはあきらめ、
個室で済ますことにしました。

しかし、男子は個室に入るとバカにされる。
(もしかしたら高校にもなってそんな人はいなかったのかもしれない。
しかし、この地域は、なにしろ『ふが悪い』という文化でしたから。)

なので、休み時間になるとリサーチをします。
この時間は体育でこの階のトイレは誰もいない。
というふうに。

学校の人がいないトイレをよく把握していました。
もしかしたら学校一だったかもしれません。


続く。


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