救われなかった

2022年7月の日記より

私が誰かと遊んだことや話したことを振り返ったり、あの時にと思い出を出してきてみたりする時、それは5月頃だったりして、4月末に別れたことよりもあとの出来事がすでに「懐かしい」になっていることに驚く。まだ3ヶ月も経っていないのに、私はあの頃の私ではなく、あの人もあの頃のあの人ではないのだろう。

別れを決めなければいけない時から、別れた後はもう二度と会えないのだろうとわかっていた。最後に会って話をした時、この部屋から出てしまえばもう二度と話せないのだろうとわかっていた。どうしようもないことはわかっていたけど、もう一人になんてなりたくなかった。

相手の家に相手が休みの日や仕事終わりに遊びに行って、ごはんを買って一緒に食べ、ゲームをしているのをみて眠りにつくようなそんな5ヶ月だった。一度だけ映画に行き、一度だけカラオケに行き、一度だけ回転寿司に行った。リサイクルショップでレア物の古着を掘り出したり、いらない服を売りに行ったりしたこともあった。全部が一度きりだったけれど、高校生みたいで楽しかった。

私の高校生は全く高校生らしくなかったから、やり直しているみたいだった。2022年3月1日、高校を卒業してから5年が経つ日だった。2017年の私は友達なんていないと思っていて、卒業式前日に制服を破いて捨てて、式には出ないつもりだった。翌日朝起きると、魔法みたいに制服が元通りになっていて、行かないと後悔するからと母に言われた。結局クラス写真には入らなかったし、担任とも目を合わさず、逃げるように帰ってきた。でも5年が経って、電車に揺られている私は、卒業式終わりの学生達を見ても微笑ましいと思えるくらい成長していた。彼らを見ながら私も彼氏に会いに行く。私なりに幸せを掴めていたことが嬉しかった。昔の自分に「今の私、幸せだよ!」と言うことができていた。

残念ながら今の私は幸せではないと思う。落ち込んでいると思われないように一人でいろんな場所へ行き、友達に少し「何にも楽しくないな」と言えば「この前〇〇行ってたじゃん」と言われ、そうだった楽しかったな!と笑うしかない。部屋はもうずっと片付けられていなくて、足の踏み場だけ確保して暮らしている。もうお前一人の人生じゃないんだから死んだらだめだよと言ってくれた人は簡単にいなくなって、また一人の人生になった。


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