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人はなんのために傷つくのか。

「なぜ人は傷つくと思う?」そう身近な人に聞かれた。
確かにそうだ。
絶対傷つかないほうがいいに決まってる。
絶対苦しまないほうが楽しい人生を歩めるに決まってる。

でも考えたことがなかった。
「傷ついた」「傷つけてしまった」そういうことを考えたことがあったとしても「なぜ傷つくのか」という根本的なことを考えたことがなかった。

きっと本人はなにか傷ついた経験があったのだろう。
そして、それに今悩んでいるのだろう。
そうじゃないとこんな問いは生まれないと思うから。

そんな傷ついている人になんて声をかけるべきか悩んだ。
私は今、どう発言するのが最適なのだろう。
傷を抉るのか、傷を癒やすのかが一言一句に込められると思った。

普段は投げかけられた質問に対して深く悩むことは少ない。
でも今回ばかりは言葉を選んだ。

「自分の周りに自分の味方がいなかったら、みんなに否定されたら、それはすごく傷つくし悲しいことだと思う。
でも、相手が傷つけようとして傷つけたのか知らぬ間に傷つけてしまったのかは重要だと思う。
私も人を傷つけたいと思って傷つけることなんてないけれどどこかで傷をつけてしまったことがあると思う。
でもそれは傷をつけようと思ってつけた傷じゃなくて、相手が気にすると思ってなかった。とか、周りの空気。とか。そういうので流されて無意識に加害者になってしまっていることが怖いよね。」

正直なんていったかあまり覚えていないんだけれど、なんとなくこんなようなことを言ったような気がする。

きっとこの人はよく考える人だから少し尖ったことなら誰に言われたとしても傷つく。
けど、自分に取って大切だと思っている人に言われたらもっと傷つく。
すごく引きずると思う。

そりゃ、大切な人に否定されて悲しくないわけがない。
けど、それが人一倍顕著に出る人だと思っていた。

だからこそ、この人には「誰に傷つけられたか」がすごく重要だと思った。

「傷つくことはこれからきっとたくさんある。
けれどその度落ち込んでいたら生きていけない。
相手も傷つけたいと思って傷つけているわけではないし、相手は悪くないのに自分が期待していたり勘違いしていて傷つく場合だってあるから。
でも、傷ついたっていうのって勇気いること。
だからこそこの人とずっと一緒にいたいとか、大切にしたいと思う人なら勇気を出して嫌だったと伝えるべきだと思う。
けど何年後も一緒にいるかと聞かれて頷けない人はわざわざ勇気を振り絞ってまで言う必要はないと思う。
もし大切にしたいと思っている人に伝えて相手とうまく行かなくなったとしても、いずれそうなる運命だったと思えばいい。
気の合わない人と一緒に居続けてもお互いの首を締め続けるだけだと思うから。」

そう言って、相手は整理がついたようだった。

少し冷たいのかもしれない。
でもこの人だけは大切にしたいという人以外に感情を振り回される必要も、
そこに割くエネルギーもいらないと思うのだ。
だってそのエネルギーと時間があったら大切な人や大切なことに使いたい。

あっという間に人生が終わりそうだから。
がむしゃらに走り続けていたら気がついたら年を取っていそうだから。

自分が持っている限りある時間を大切に使いたい。

相手は整理がついたと言った。
勇気を出して気持ちを伝えられただろうか。

そして昨日の晩その話をして、今日の昼、嫌だなと思うことがあった。
でも言うことを留まった。

昨日あんなことを言った手前、ちゃんと考えて伝えたかった。
この人と私は将来ずっと一緒にいるのだろうか。
ただ単純に勇気が出ないだけだろうか。

そんなことをずっと考えている。


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