可もなく不可もなく

袋代の3円をケチってコンビニで買った2つのおにぎりを上着の両ポケットに入れて帰った。数百円の食べ物は我慢できないのに数円を我慢する、生産性の無い行為でまた給料日前に苦労してしまうんだろうな、と思う。

一昨日は良いライブだった。一概にバンド、一概にSSW、全てジャンルとして纏められるけれど、そんな枠の中に収まりきれないような個性が溢れている演者さんしかいなくて、見ていて本当に楽しかった。

私はというと、初めて可もなく不可もなくといったパフォーマンスをした。それに対して肯定も反省もしている。

今まではライブ出演前はとてつもない緊張感に襲われて、それはステージに出てからの数分間も変わらなくて、調子が出てきたら感情が表に出るのだけれどそれまでは「次であれしなきゃ、その次はこれしなきゃ」という理性だけで慌てて失敗を繰り返してしまっていた。今回はそれが無かった。良くも悪くもステージに立つことに慣れてしまったんだと思う。

だから感情が中々表に出てきてくれなかった。歌い慣れた曲で、無意識に口と手が動いて、感情だけがそこに乗ってくれなくて。フレーズの強弱や表情の作り方も覚えてしまっているから、全て無意識のうちにやり終えてしまっている感じだった。とはいえ、表情や気持ちを歌に乗せられているからきっと感情はゼロではないと思う。私自身や、楽曲たちから滲み出るものもあるだろうから。見てくれたお客様も「感動した」と言ってくれたから、少しでも伝わっていて良かったって思った。

ivory irisが活動を始めた初期の初期(マジで知り合いしか知らないくらいの時)に対バンしていた最果テルーティンの萩山さんが、「歌とギターすごく上手くなってる、特に歌上手くなってる」って言ってくれた。初めて見た時から「こんなバンドマンになれたらかっこいいだろうな」って思っていた憧れの人だったから、褒めてもらえてすっごく嬉しかった。活動を始めてからの1年半の努力は無駄じゃなかったんだなと思えた。

初めて私たちを見てくださったお客様たちがCDを買ってくれた。数が全てでは無いけれど、やっぱりその日のライブの出来が分かるのは売上だから、良いライブが出来てたんだろうなと安心したし、純粋に嬉しかった。

とある仲の良いライブハウスの子が言っていた「お客さんからお金を貰っている以上、それぞれのライブに差を出してはダメだ」という言葉。それだけが今回の反省だ。この言葉を聞いてからというもの、ずっとそれを念頭に置いてやってきた。でもやっぱり感情的になれる日とあまりなれない日があるから、なれなかった日はライブが終わってからの家路で猛反省する。今回は本当に不可のないライブをしてしまったから余計に猛反省したよ。

自分のやるライブや音楽に満足しきってしまったらそこが終着点だから、その時がきたら音楽を辞めようって思ってる。まだまだそんな日は程遠いしやりたいことが山ほどあるから、まだまだ頑張るよ。今応援してくれている数少ない大好きなファンの皆さん、まだまだ進化するから見ていてね。


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