Lucie,Too「Lucky」


さっそくですが、なぜ「今日は特別な日」なのか。

考えられるのは「今日」が「2人」の記念日、もしくは「2人」のいずれかの誕生日などの「特別な日」であるから。

あるいは「今日から私 あなたについていくわ」、「あなたに尽くすこと決めたの」と「私」が決意したのが「今日」であるから。

1つ目であれば、もともと「今日」が「特別な日」であり、その「特別」が「私」の決意を促したということになる。

2つ目であれば、この決意は「私」にとって強いものである。

なにせ「今日」を他とは違う「特別な日」とするのだから。

タイトルの「Lucky」とは「運がいい」という意味だ。

「運」というのはたまたま巡り合わせるもので、基本的には「私」の意思と関係なく訪れる。

一方で「私」の普段の振る舞いや思考の如何(いかん)が「運」を引き寄せるかどうかを左右するという考えもある。

気になるのは1番の「些細な事でケンカして 話はまだ平行線のままだけど」という「2人」の状態。

「ケンカ」の原因は「些細な事」なので、そのすれ違いは深刻なものでなく、「2人」の関係は修復可能であると推測することに無理はない。

とは言え、「そんな事はもうどうでもいいの」と思っているのは「私」だけかもしれないし、今後「2人」の関係が修復されるかどうかは分からない。

そして続く2番は、「春の匂いで胸踊らす 街中まで2人でお散歩」。

この「2人でお散歩」とはどういうことか。

「ケンカ」の後で「平行線」から脱し、「2人でお散歩」したとすれば、まさに「2人」の緊張が雪解けを迎え「春」になったということ。

だがこの「踊らす」はどの時点のことなのか判然としないので、「お散歩」がいつの出来事なのか特定できない。

つまり「2人」が良好な関係に戻れたかどうかは分からない。

おそらくは「今日」が「特別な日」であることが「私」が「Lucky」である理由だろうが、はたしてこのような状況を「運がいい」と言えるのか。

ここで改めて「私」の決意だが、「テレビから出てくる 髪の長いオバケが あなたに恋をしたとしても」、「地球よりもデカイ宇宙の星が あなたに迫って来てるとしても」と突拍子もない事態が想定された後に、「その手を掴んで二度と離さないわ 最後の時が来るまであなたに尽くすこと決めたの」と続く。

その調子とは裏腹に、この大げさな表現も反語的な結末を予見させないだろうか。

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