春宵
大学院を辞める旨を伝えに、実家に戻ったときのことをよく覚えている
『普通のことが、出来るよになりたい』て、大泣きして両親に打ち明けた
普通が何かとかは分かんなかったけど、自分はおかしな様子を生きてることはぼんやり分かってた
結婚とかしてみて、でも、あまり変われなかった
春は少し苦手で、お日様の光を一杯に浴びて呼吸する花々とか、入学式のおめかしのフリルを揺らす園児とか、笑い合って手を繋ぐカップルとか
煌めき放たれる埃ぽい光の全部が、ひりひり痛い
どうしてそんなに、ナチュラルに美しくて綺麗なのだろう
ポンて投げ出されて、存在の息を出来ない体質だから
自分の胸奥の、一番柔らかなところを剥き出して、現して、確認して、放ってゆくことしか、ずっと方法が分からない
疲れちゃった
春の光はやっぱり苦手
剥き出した魂が、綺麗な光にじりじり焦げて、溶けてくのを感じて
痛くて、さみしいから
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