プロ野球投手(MLB,MiLB)の肩水平外転&水平内転の角度と肩肘の負荷との関連性について

今回は、

The relationship between maximum shoulder horizontal abduction and adduction on peak shoulder kinetics in professional pitchers.

の論文を読み解いていきます!

導入

野球の投球動作に関連する上肢の運動学は、肩関節の怪我のリスク増加と関連しており、外転、水平外転、外旋が肩の損傷リスク増加に関係していることが示唆されています。

特に、水平外転の増加は選手の年齢層関係なく肩関節に悪影響を及ぼすと複数の研究で報告で指摘されています。

※以下ではわかりやすいように、肩水平外転の文字を細文字の青色、肩水平内転の文字を細文字の赤色で分けていく。


Takagi et al. (2014) とTanaka et al. (2018)によると、日本の高校野球投手を対象とした研究では、ボールリリース時に水平外転が増加する姿勢をとると、肩前方のせん断力が増加。逆に、水平内転の量を最小限に抑えると、腕と肩甲上腕関節の分離を引き起こす牽引力が軽減すると報告されています。この牽引力は肩甲上腕関節の病理に多くの意味を持ち、関節唇損傷やローテーターカフの腱板損傷に関連しています。

これまでの研究で、競技レベルが上がるにつれて投球中の上肢の力学(肩の牽引力や肘の内反トルクなど)が増加することが明らかになっています。力学の増加は、肩の負傷リスクとの関連性があるので、投球腕にかかる力とトルクを評価することは怪我予防の観点においてとても重要です


方法

ここから先は

2,654字 / 5画像

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?