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将棋めしとおやつの旅~また愛知(1)フォレスタヒルズ「和処花乃里」その1
愛知県への旅で最初に寄ったのは、フォレスタヒルズ。豊田市にあるホテルフォレスタとスポーツクラブの複合型施設だ。こちらは2005年から10年にわたって棋聖戦の開催地となっていた。木村一基九段(当時八段)は2009年に、こちらで羽生善治棋聖に挑戦している。
このフォレスタヒルズ、なんと2022年3月13日で営業終了となる。知ったからには、なんとしても今行かねばなるまい。私に妙な使命感を抱かせるシチュエーションが揃ってしまったのだ。
さて、ここで対局室となったのは『和処花乃里』の中にあるお座敷の宴会場、芙蓉の間である。そこで食事をするのは無理としても、このレストランで食事をしたい。もちろん、木村九段が棋聖戦挑戦当時召し上がった寿司をいただくのだ。
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入口は棋聖戦ブログで見たとおりの風情を感じる赤い傘と毛氈に花車が目立つ。
入店して案内されたのはテーブル席で、対局室や控室に使われた座敷でないのは想定内だ。メニューをめくって寿司を探し、寿司御膳に即決定。同伴者は前回の愛知訪問時に店が建て直しで食べられなかった悲願の鰻、鰻丼御膳を選んだ。
なお、木村九段がタイトル戦に出た時に召し上がった寿司と同じものはメニューに無い。あれから10年以上経っているので当然と言えば当然だ。
しかし、我は時間差追っかけの旅の身、ここで寿司をいただくことに意義を見出す変わり者なのである。迷いなど微塵も無い。
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ねぎとろの握りの酢飯にごまが混ぜられていたり、ひとつひとつに丁寧さを感じる寿司である。舞茸の握りは初めてで、香りと食感が面白い。食べログのクチコミで野菜寿司のことが書かれていたので、なるほどその流れなのだろう。
お椀の深く甘い味噌は八丁味噌ではなく麦みそだろうか。1月という時節だからか小さく切ったお餅も入っている。同伴者も絶賛だ。とても美味しく温まる。
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対局に使われた部屋は多分すぐそこの廊下の先にある。あと2ヶ月足らずで閉館してしまうのだから、ここで勇気を出さねば二度と見ることができない。
注文を取ってくれたスタッフの方に、その部屋を見せていただけないかと恐る恐る尋ねてみたところ、責任者の方のOKが出て、食事の後に見せていただけることになった。ランチタイムの終わり際という時間帯も幸いしたのだと思う。
期待に腹を膨らませながらデザートまで平らげた。
(つづく)
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