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将棋めしとおやつの旅・大阪市福島区(11)将棋日本シリーズ大阪大会

 食べ物の記録が多いものの、この旅の主目的はJT杯、将棋日本シリーズである。場所は大阪市立体育館。ネーミングライツで丸善インテックアリーナと呼ばれる。
 大阪大会は準々決勝の豊島将之先生vs渡辺明先生で、竜王対名人だ。指せないも同然の私にはもったいないくらいのカードである。

 当選したのは2、3階である。12時半くらいに入場した。
時間が早いせいか入口は閑散としていた。まずは席を確保と入っていくが、既に座っている方が多数いらっしゃる。後から気づいたのだが、1階で行われている子ども大会の付き添いでいらした保護者の方が、既に席に座っていたのだった。これでは最前列を取ることは難しい。

 ステージ上の人物は、肉眼では男女の別くらいしかわからない。もちろん服装や髪の長さで判断してのことだ。

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 中央は稲葉陽八段で、抽選箱に手を入れて何かを取り出していた。左の方がマイクで「稲葉八段」と呼んでいたからそうとわかっただけで、双眼鏡がなければ顔つきもわからない。どうやら詰将棋の回答をした方の中から抽選をしていたようだ。

 入場時にカメラチェックもなく、画像は撮り放題。この緩さには驚いた。望遠カメラを持参されている方もいた。

 子ども大会は1階で行われていて、1階席の方々はまだ中には入れてもいない。勝ち上がった強いお子様方は左端の方のテーブルで、決勝進出を目指して戦っていると1つ隣の席の保護者の方から聞いた。
 「毎年おじさんばっかなのに、今日は女性が多くてびっくりした」とも。

 スタッフによって右半分の机が片付けられ、観戦者席として椅子が並べ替えられたところで、ようやく運の良い1階席の方々の入場である。
 こんなにバタバタとした中でも子ども大会は続いていて、準々決勝あたりで負けてしまったお子様に表彰状らしきものが渡されたりしている。こんな中でも集中できる力があるとは立派なもので、そういうお子様たちが現在プロ棋士になったりしているのである。

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 なんと突然対局者がスーツ姿で登壇し、ご挨拶をされる場面が。Abemaの中継ではこのシーンは無いので、現地だけの楽しみと言えよう。そびえる鰻玉丼完食をあきらめて早めに入場した甲斐があった。

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 稲葉陽八段、北村桂香女流初段、藤井奈々女流初段たちのトークショーもあった。緩くて楽しい。

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 お強いお子様方が和服を着用しての子ども大会決勝戦と表彰式を経て、15分押しで将棋日本シリーズは始まった。
 ここで観客席の照明が落とされ、初めて「フラッシュを使用しての写真撮影はご遠慮ください」というアナウンスを聞いた。フラッシュをたかなければ撮影はOKなのだ。豆粒だけど。

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 虫かごに入っているような画像だが対局直前の様子である。双眼鏡で見ている方が楽しく画像はこの後あまり撮らなかった。

 相当端折るが、展開はまさかの相入玉。もともと時間通りに始まらなかったので、17時半にはここを出て18時にはおやつを買って夕飯を食べ、19時の女流アベトナにぎりぎり間に合わせてホテルへという計画は変更である。途中で帰りたくはない。
 Abemaの中継で表示されていたという持将棋カウンターは現地にないし、算数も苦手だ。まったくもってわからないまま時は過ぎ、17時39分、215手で豊島先生が勝利した。
 
 Abemaの中継では放送されていないが、このあと勝利者が再登場して決勝戦に向けての抱負を語る場面もあった。1階席付近に移動していてたまたま撮影できたのでYouTubeの限定公開にしてある。


 なお、JT杯と言えば勝利者のお見送りである。さっきまで豆粒か砂粒かという大きさでしかなかった先生を間近で拝見し、直接お祝いの言葉をお伝えできるチャンスである。
 私はお見送りの列に並んだ。おやつよりも夕飯よりも女流アベトナよりも今ここで真剣勝負をなさった豊島先生にお目にかかりたいと。

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 ほんの数秒、豊島先生の前を通りながら、お祝いの言葉をかけるつもりが「がんばってください」と言ってしまった。竜王戦の最中だからか、つい口をついて出てしまった。先生はずっとずっと頑張っていらっしゃるというのに。

 会場を後にし、とぼとぼと歩き出す。なんてことを言ってしまったのだろう。
 あたりはすっかり暗くなっていて、天気はこれから雨の予報である。スニーカーはメッシュ生地で水には耐えられない。
 このまま帰ろう。夕飯はこのバッグの中の鰻おにぎり(2個)でいい。そう思った。

(つづく)

 

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