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将棋めしとおやつの旅・大阪市福島区(10)いづも

 対局中の出前ができる店ではないが、いづも福島店も将棋めしと分類させていただこう。
 何故なら、YouTubeのチャンネル「さとみさき」でおなじみ、里見咲紀女流がここでの飲食の動画をアップしていたからだ。
 里見咲紀先生は大変よく召し上がる。細い身体で信じられない量を笑顔で食べ尽くす。私がモッパンという言葉を知ったのは、そのチャンネルでだ。

 そんな里見咲紀先生がここで召し上がったのは鰻玉丼である。よく召し上がる方と同じ量を自分が食べられるのか、些か不安もあったが、例の動画で同席されていた咲紀先生の姉である里見香奈四冠も残さず召し上がったとのこと。それなら大丈夫なのではないだろうか。

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 開店20分前に到着したが既に3人並んでいた。この後JT杯に向かわなければならないので早めにいただきたかったが、少し待つことになった。
 
 入店が許され席につくと目の前には鰻牛丼のPOPばかり。鰻玉丼はもう出していないのではと動揺したが、きちんとあった。
 「そびえる鰻玉丼」1,980円。

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 遠近法で小さく見えるかもしれないが、どんぶり山盛りのごはんである。話によると2合分だそうだ。

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 咲紀先生は鰻と玉子を一旦右の皿に退避して、また鰻を戻して召し上がっていた。作法は倣うのが好手なはずだ。

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 右手に箸、左手にスプーンを構え、鰻を皿へ移そうとしたところ、失敗してテーブルに裏返しにぶちまけたのでぐちゃぐちゃになった。それほどまでに柔らかい鰻。ご飯の上に戻すことはあきらめて玉丼と鰻としていただくことにした。

 藤井猛九段が「鰻には山椒をかけない」と言っていたのでかけずに食べ始める。格好いい人のやることはひとまず真似してみる主義だ。 

 ふっくら柔らかい鰻をホカホカの味付きごはんに一口分ずつのせ直して一緒にいただく。ああ、これでこそ鰻丼だ。美味しい。
 はんぺんよりもふわふわした玉子焼きは軽くて食べやすい。寿司屋の玉子焼きのように重くも甘くもなく、この鰻丼に合っている。

 流石にこの量では味変が必要となり、途中から山椒をかけた。適度に甘みが締まって箸が進む。

 咲紀先生はテーブル備え付けのタレをご飯に足して召し上がっていた。これも真似してみたのだが、私にはこのタレが甘すぎて1回試しに少しかけただけでやめてしまった。
 近くのテーブルの関西弁で話している女性の方々は、このタレをご飯の上にグルグルとかけ回して召し上がっていたから、もしかすると関東と関西の味の好みの違いなのかもしれない。

 このような重大な任務中に、上司からのLINEが飛んできた。大食いチャレンジの最中なのに、途中で箸を休めたらたちまち勢いを失ってしまう。
 左手で返信しながら右手で食べ続け、途中経過の画像が全く撮れなかったのが残念だ。
 
 4分の3くらいまで食べたところで、箸を止めた。
 この後何も予定が無ければ、このまま時間をかけ努力して完食するのも有りだが、私にはJT杯が待っている。これを棒に振るわけにはいかない。

 隣のテーブルの男性に倣って、ご飯と鰻を残し、店員さんに声をかけた。
 「持ち帰ってもよろしいですか」
 この店は食べ残しをおにぎりにして持ち帰らせてくれるのだ。

 かくして私はJT杯におにぎり持参で行くことになったが、結局ホテルまで持ち帰り、女流Abemaトーナメントのチーム里見vsチーム伊藤を観ながら食べた。
 レンジでチンしなくても美味しかったのは、ご飯だけでなく鰻も少し残して、鰻おにぎりにしてもらったおかげだと思う。

 にしても、里見女流姉妹はすごくないですか?

(つづく)

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