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バスルームブレイク(ナマステ・チチパス)

今年はオリンピックも開催され、US オープンも盛り上がり、嬉しい祭りの夏が終わりました。庭には彼岸花が咲き、秋の季節の始まりです。
今年のUSオープンはコロナワクチン接種者に対して観戦が可能になりました。例年の観客数よりも少なかったようですが、私の観戦日、1回戦は全てのフィールドコート15 コートにも行列ができていて、観戦する側にも気合が入る、戻ってきた笑顔、どこでも意気揚々と応援していました。

さて、今日の話題はバスルームブレイクです。US オープンである選手の休憩問題が炎上しました。ギリシャのステファノチチパスが試合のセットの間に頻繁にトイレ休憩をすることが対戦相手から指摘がありました。もともとバスルームブレイは具体的な時間制限はなく、適当と思われる時間。彼はどうやら、ユニフォームを着替えているようで、クレームがあった 『適当と思われる時間』は2回のバスルームブレイク、それぞれ8分30秒と7分30秒。他のトーナメントでも彼のバスルームブレイクは有名で、10分30秒などの『休憩』をしています。ギリシャの気候からいえば、他の国の蒸し暑さは耐え難いのかなと、無責任なことを思ってしまいました。。

本来の理由であるべき、お手洗いにどれだけ時間をかけるのか、着替えをするのか、そしてここで問題になっているのは、そういった物理的なことではなく、試合の流れを変えたいときにとるのが主流となる、精神的な理由でバスルームブレイクをする選手が多いということ、このことに物議を醸しているのです。

僕は何も悪いことをしていない。なぜブーイングされたのか、わからない。僕はファンを愛しているけれど、彼らは僕たちプロテニスプレイヤーの大変さがわかっていない。短い休息は時には必要なんだ。

精神的な避難場所に利用するお手洗い、テニスはとても内省的なスポーツで、試合中も一人で解決しなければならない孤独なスポーツ。。
ジュニアがこれからどんどん進出していくテニス界、この若い選手たちが、真似をしてルールに反していなければ何をしてもいいということにならないか。相手の選手を尊重する行為をすべきてはないのか。などとグレーゾーンのルールに対して問題指摘が上がっています。

テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーは今でこそ紳士的だけれど、昔は悪童でした。今があるのは努力の結晶で自身を完璧な選手に作り上げたのだと思います。けれど、去年からのコロナ禍で自分でタオルを管理する制度となり、全仏オープンの試合中に、フェデラーがのんびりタオルを取りに行く行為に審判から時間制限のバイオレーション警告を受けて、フェデラーが昔の悪童になってしまいました。そのまま、感情を引きづり、その時のセットを失いました。

感情の操作をするため、手に持つ一番大切なラケットを叩きつける選手もいます。

大阪なおみはUSオープンでラケットを叩きつけることを繰り返したために、観客がブーイング、若い対戦相手、レイラフェルナンデスを応援する声が鳴り響いて、試合にも負けてしまいます。涙の会見では、『私は試合で勝つとホッとする。試合で負けるととても悲しい。この心情は普通ではない。。。』なんとも痛々しい会見でした。

ノバクジョコビッチもテニス界のキングとして、哲学者として、私に刺激を与えてくれますが、USオープンの決勝でラケットを叩きつけ、破壊して、実に生々しい怒りをあらわにする姿に私は青ざめてしまいました。
悪いマナーは罰則だけでなく、一瞬にして観戦する人たちを敵に回す事にもなるのです。

最上級の人間を超えるような競争だから、危険なまでに、肉体だけでなく精神も削いで入るのだと思うのですが、どうしてそこまで選んで、続けるの?(私も中学時代、一応毎日テニスをしていましたが、競争心の欠片もありませんでした。)テニスの場合、世界ランキングをあげるために、毎週世界各地で行われている試合にできる限り出場しなければなりません。非常にオフシーズンの短いプロスポーツで、年末年始の一ヶ月ほどしかありません。オフの間にリハビリで故障を治したり、体力強化したりということができないので、選手達は傷を抱えたままのプレイを強いられます。傷だらけの選手たち。。。

バスルームは唯一のプライベートな場所で心を正気に戻す環境。ならば、ここは規則にで縛らず、その人の『適当と思われる時間』であれば良いのではないかと思う私です。

今月はバスルームブレイクをテーマにした、ナマステ・チチパスのスカーフを作ってみました。
テニス界の選手たちのファンとして心から応援いたします。

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