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第21回(ひとり)おうちラジオ〜毎日超短話の朗読と解説〜

ひとりでグダグダと、毎日超短話のいくつかを朗読して、コメントしております。


収録超短話(7話)


毎日超短話741「いま」

タイムマシンが発売された。過去にも未来にも行けないというが、売れ行きは好調だそうだ。行き先は、「いま」だけ。どうやら、「いま」に行けない人たちが、最近は多いらしい。


毎日超短話740「ごんぎつね」

引っ越しの荷造りをしていると、古い教科書が出てきた。パラパラとめくった国語の教科書が数ページ破かれている。たしか「ごんぎつね」のページだった、と思い出す。ごんぎつねが可哀想だから、破ったページをお墓に埋めたんだった。目をつぶって手を合わせる。目を開けると、栗や松たけが、置いてあった。窓の外には、彼岸花が咲いている。


毎日超短話739「友だちだった人」

国民的バンドのメンバーに、ずっと昔、友だちだった人がいるのを初めて知った。大人数の中のひとりだし、芸名のようだから、気付かなかった。気付かないままずっと、彼の作った曲に励まされてきた。


毎日超短話737「再会」

メロディだけ覚えてる歌を口ずさんでいる彼女と、歌詞だけ覚えてる歌をつぶやいている彼が、すれ違った。振り向いて、目が合う。その歌のタイトルは確か、「再会」といった。


毎日超短話735「ナナホシテントウ」

飼っているナナホシテントウの星が一つ減っている。それがぼくの胸にあるのを見つける。星というか、ほくろみたいなものだけど、たぶんナナホシテントウからのプレゼントだと思うので、受け取っておく。ありがとう。


毎日超短話734「休憩所」

休憩所でパソコンを広げている人のパソコンの角っこに、窓から入ったトンボが止まった。たぶん、休憩しなよと言っているんだろう。


毎日超短話731「スロースターター」

ぼくはスロースターターだからね、先で待っててよ。とマラソンの途中で友だちが言った。わかった、と言いいながら、ずっと友だちの隣を走った。そのままふたりでゴールすると、先で待っててって言ったのに。と友だちは笑った。俺もスロースターターなんだよ、と笑い返す。ゴールはまだまだ先だね、と友だちはピースした。

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