見出し画像

あたらしい法学入門、できました

有斐閣書籍編集部です。

本日は、新刊のご紹介とご執筆の先生方からのメッセージをお送りします。

ご紹介する『法学入門』は、まさに、発展のスピードも高まり価値観も多様化していっている、現代の法学を学習するのに最適な1冊です。
法は、現代社会に対して、ときにはリードを、ときには後追いしながらさまざまな姿を見せ、複雑に入り組んでいっています。

本書では、法に共通する基本的な考え方とともに、社会の場面ごとにどのように法が表れているのか、わかりやすく書かれています。そうして、複雑な法のいまを学び、これからのあり方を考えることができるようになっています。

本書ができる過程では、7人の先生方にとても白熱したご議論を何度もいただきました。今回、ご執筆陣の先生方からコメントをいただきましたので、ご紹介します。

宍戸常寿先生

私は、「法とは何か」の前半(第1章1・2)、憲法の概説(第2章4)、そして「ライフサイクルをつらぬく法」(第3章1)を担当しています。社会全体や国家から一人ひとりの生き方にまで、法がどのように関わっているのか、いま法を学ぶ意義を読者の皆さんが感じられるようにとの思いを込めて書いてみました。長く手許に置いていただき、あそこでもここでも法が私たちの生活を支えているんだということを、機会あるごとに本書の目次を見ながら確認していただければと願っています。

石川博康先生

第2章2(「民法」)と第3章2(「人々の暮らしと法」)を担当した石川博康です。法学を学ぶ際には、様々な法的知識を身につけることも大切ですが、それにとどまらず、その知識を用いてさらなる応用問題や未知の課題に立ち向かえるようにならなければなりません。そのためには、視野を広く持って、個々の法ルールの背後にある本質的な理念を感じ取れるようになることが必要です。そう、印象派の絵画を鑑賞するときのように、細部から少し距離をとって、想像力を働かせてその全体を味わうことを心がけながら、本書を通じてぜひ法学に親しんでみて下さい。

内海俊先生

第1章3(「法とは何か」の後半)・第2章1(「法と手続」)を担当しました内海です。突然ですが、あなたの近所の公園では、野球ができますか? 考えたこともない、という人は、今度、散歩のついでに、公園のルールを書いた看板がないか探してみましょう。もしあったら、その公園で野球ができるかどうか、できないとしたらそれは「なぜ」なのか、帰り道にでも考えてみてください。そんなところにも、法学への入口があります。もっとも、中に入ってみる場合には、本書が手元にあるとより安心です。ちなみに、ルールを書いた看板が見つからなくても、本書さえあれば、いつでも、法学の世界に飛び込むことができます。読書も禁止という公園は、あまりないはずです。

興津征雄先生

私が書いたのは、第3章5「公益実現のための法」と7「グローバル社会の法」の2節です。前者は、行政法と地方自治法と環境法と社会保障法をあわせて10ページで、という無茶な注文だったので、制度の細かな説明よりも、なぜ行政(法)が存在するかについてざっくりとしたイメージを持ってもらうことに主眼を置きました。後者は、執筆メンバーに国際法学者がいないのでお前が書けというこれまた無茶振りで(私の専門は行政法)、国際法の専門家のお目にかけるのが恥ずかしいですが、国内法学者の立場から、国内法を中心に勉強する学生にもこれぐらいは知っておいてほしいという気持ちで執筆しました。

齋藤哲志先生

第4章は「ローマからAIまで23000字」という(「無茶振り」どころか)ミッション・インポッシブルあるいは無理ゲーでした。正攻法に徹しましたがもちろん攻略できていないはずです。その一方で、こんなオーダーが立つこと自体、法学の性格を表している気もします。人文学のようでありながら時空を超えて普遍性を標榜し、社会科学というには道具も方法も欠けている。こうした中途半端さが法学部不人気にひと役買っていそうですが、だからこそ格闘しがいがあるのかもしれません。本書で入門が済んだみなさんには、是非、法学の手厳しい批判者になっていただければと思います。逆に、本書を読んで入門しないことに決めたというのも立派な態度です。

笹倉宏紀先生

第2章3(「犯罪と法」)と第3章6(「情報にまつわる法」)を執筆した笹倉宏紀です。「罪と罰」は古来多くの人々を悩ませてきました。法学でも同じです。古いからこそ、しかも、国家権力による強権発動と実力行使が日常的に行われる最も苛烈な法分野であるからこそ、法的な思考の特徴が典型的に現れます。「情報にまつわる法」は、一転して最先端の領域です。しかし、従来の思考と無縁ではありません。むしろ、最先端であるがゆえに、これまでの思考の意味が切実に問い直され、そして、更新されていくのです。本書全体を通じて、法学に特有の思考とその背景にある歴史や感覚を読み取っていただけるとうれしいです。(第2章3は、「犯罪と法」という表題も含めて、かつて西田典之教授が書かれた『現代法学入門』における概説にその多くを負っています。)

松元暢子先生

第3章3「組織に関する法」と4「市場にかかわる法」を担当した松元暢子です。この本、7名が各自の専門分野を中心に執筆しており、本当に密度の濃い、深い内容になっています。私は法律を勉強し始めてから約20年になりますが、他の先生方の原稿を読んだり、執筆会議で議論する中で、何度「へえ!」「そうだったんだ!」「知らなかった!」と思ったか分かりません(私が無知なだけかもしれませんが。。。)。読み返すたびに発見がある本だと思いますので、初めて法律を学ぶ方だけでなく、ある程度学習が進んだ方の視野も広げてくれると思います。おススメです。


先生方、どうもありがとうございました。いかに読者に届けていくかを念頭においた先生方の熱いご議論を伺って、とても楽しかったです(無茶なお願い申し訳ございませんでした!)。

みなさま、ぜひ、お手にとっていただけますと幸いです。

楽天ブックスで購入する

*ご注文は、お近くの書店やネット書店でお願いいたします。目次は有斐閣HPからご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?