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桜を待つ、部屋の中

立春を前に桜の樹が切られてしまった。
隣人の苦情からだろうか。桜の花びら、落ち葉の片付けは大変だろう。おそらく市からの委託だろう。植木屋さんと違って、趣なく枝を切ってしまった。
心なしか痛々しく感じるほど、寂しく感じる。
これから春に向けて蕾を蓄えていた枝。

桜は大好きな花のひとつだ。昔好きだった人が桜の花が好きだというのを聞いて嬉しかったのを思い出す。
今はもうないけど、私が生まれた時に植えた木が桜の樹だった。雪の重みで折れてしまった桜。
折れてしまって、切られた枝は無造作に置かれ、いつか処分されることとなっていた。そこからポツポツと蕾が開いたのだ。静かな息吹は生命の力強さを感じた。
思わず枝を切り、花瓶に生けて束の間の春を愛でた。

そのことを思い出し、切られた枝をほんの一部、お迎えした。

これから桜が開花する季節が来る。
小さな空間にも春が訪れてくれることが待ち遠しい。

#桜 #春の芽吹き #生命力



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