技術や知識の進歩による人間の退化
本日の現場からは、
【技術や知識の進歩による人間の退化】と題してお話します。
以前所属していたチームで感じた、
最近忘れがちだった、忘れてはいけない事についてお話します。
数年前、
試合中に、キャッチャーの右膝にファールチップが当たり、一瞬キャッチャーが痛がる時間がありました。
試合後、その選手はトレーナールームに来て、もう一人いたトレーナーに症状を見せて、アイシングをしてもらっていました。
この流れは、特に代わり映えのない通常の流れだと思います。
もちろん、アイシングすることを否定したい訳ではありません!
(でもアイシング肯定派ではありません)
その昔は、アイシングなんて概念もなければ、知識もない。
当然、エビデンスなんてものはありません。
そんな時代から進歩し、RICE処置ってのが世に広まり、当たり前のようにアイシングも行われるようになりました。
これは、素晴らしいことだと思います。
技術や知識が進歩し、より良い方法が現場に落とし込まれることは素晴らしいことです。
しかし、
それが当たり前になり、誰もがそれを疑わなくなり、流れ作業のように行われています。
これは問題です。
常識を疑うことは大切です。
最近は、PEACE&LOVEと表現されたりします。
P:Protect 保護
E:Elevate 挙上
A:Avoid anti-inflammatory modalities NSAIDs 抗炎症の痛み止めを避ける
C:Compress 圧迫
E:Educate 教育
L:Load 負荷
O:Optimism 楽観的に
V:Vascularisation 循環
E:Exercise エクササイズ
さて、本題はここからなのですが、
ちょっとボールが当たっただけで、アイシングして下さい~って来るのはどうなのか?ということです。
もちろん、何かあればトレーナーに報告するって事は大切な教育ではあります。
しかし、何でもかんでも過剰に接するべきなのか?という問題です。
そんな中、
翌朝、コーチがファールチップの当たった選手に、
「ナニ試合中に痛がってんねん!」
「試合中は痛がるなって言ってるやろ!」
「トレーナールームになんか行ってないやろなぁ!?」
と言っているのを目の当たりにしました。
一応説明しておきますが、もちろんコーチは愛のある素晴らしいお方です。
そこで、
こういう感覚でいることって大切やなぁと。
優しさを吐き違えてはいけないなぁと。
思い知らされたと言うのか、なんとも懐かしい気分になりました。
痛み同様に、様々な感情や感覚には、人それぞれの〝閾値〟があると思います。
その閾値をどのように設定するかで、受け入れられる量も、こぼれる量も大きく変わるはずです。
普段から至れり尽くせり甘やかして対応していると、それがデフォルトの閾値になるし、普段から愛を持って厳しく対応していると、引き上げられた閾値がデフォルトになる。
昔なら、「唾塗っとけ」って言われて終わりだった事に対して、現在はアイシングをしたり、圧迫をしたり、治療をしたり、薬を飲んだり、、、
まさに、至れり尽くせりです。
もちろん全てを否定している訳ではありません。
今行われている対応って当たり前の事で、技術や知識の進歩によって大きく前に進んだ証ですが、〝人〟を考慮した場合、行われている全てが正義でもないように思います。
その至れり尽くせりの状況が続けば続くほど、人間が退化するんじゃないかなぁと勝手に危機感を覚えました。
トレーナーという立場でそんな事を大声で言うと、仕事放棄だ!サボりだ!叩かれそうですが…
想いが伝わると嬉しいです。
懐かしさと同時に、
改めて本当の意味で選手の未来を想った行動を選択出来るトレーナーになりたいなぁと思った懐かしい出来事でした。
というわけで、
【技術や知識の進歩による人間の退化】と題して、
お話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。
それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。
以上、現場の竹田祐平からでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?