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プロ野球新人合同自主トレの落とし穴

プロスポーツ現場でトレーナーをしたり、鍼灸整骨院でアドバイザーをしたり、若手トレーナー向けに交流会を開催したりしている、竹田祐平です。
 
本日の現場からは【プロ野球新人合同自主トレの落とし穴】と題してお話します。
 
新年を迎え、プロ野球界では1月から新人合同自主トレが始まったり、既存選手の自主トレ公開など、その内容が各メディアでも取り上げられたり、選手自身のSNSで垣間見ることが出来ます。
 
そこで今回は、元プロ野球チームトレーナーという立場から、新人合同自主トレについて感じていることを書いていきます。
 
 
1月や2月に新人選手が怪我で離脱したって話をよく聞きませんか?
 
多くではありませんが、実際に起きていることは事実だと思います。
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/179ea045a6bcdf7ba18ea67d21dcaacabe2b0148
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/38c7920bb679aa461afff82a8b74c31364e2a243
 

とにかく、怪我をしてしまっては、元も子もないですよね。
 
しかし、その反面、トレーニングする(何かを向上させる)ことには、そのリスクが常について回ることも忘れてはいけない事実だと思います。
 
リスクを最小限に抑えてトレーニングしていく為には、
専門家の指示のもと、適切に評価し、ゴールに向かって進めていく必要があります。
その中でも突発的に起こってしまう怪我があることもまた事実だと思います。
 
では、なぜ新人選手が怪我をしてしまうのでしょうか?
 
その一つに、
新人合同自主トレの〝目的〟〝強度〟が問題になっているのではないかと感じています。
 


目的を明確にする


各球団によって新人合同自主トレの目的は様々だと思います。
 
想像できる範囲でも、以下のような事が考えられます。

・身体慣らし
・キャンプへの準備
・身体作り
・チーム方針(トレーニング)の理解と実践 などなど

プロ野球界の新人の特徴として、入団してくる選手の年齢に幅があります。
下は18歳から、上は26歳前後まで。
 
このような特徴から、
球団によっては〝新人〟〝ポジション〟だけでなく、
〝個人〟に対して、自主トレのメニューを作成しているはずです。
 
当たり前と言えば当たり前ですが、
もしかしたらその棲み分けがない球団もあるかもしれません。
 
まずは各選手の〝現在地〟を把握し、新人合同自主トレでの〝目的地〟を設定する。
その現在地から目的地までの道筋が、実施するメニューになるはずです。
 
現在地と目的地によってメニューが変わる訳なので、18歳から26歳まで全て一緒ということは考え難いですよね。 

強度設定は目的に応じて


例えば、目的が〝身体慣らし〟だったとします。
 
1月の1ヶ月をかけて身体慣らしのために多くの時間を割くことになります。
 
しかし、2月のキャンプインで一軍スタートになったり、2月1日に紅白戦などが予定されていると、2月キャンプインの時点で求められている事と、その時点での身体や技術の状態にギャップが生まれてしまいます。
(この場合は、1ヶ月で身体にかけてきた負荷が足りない)
 
ただでさえ、憧れの世界に入ってきて、なんとしても活躍したい、一軍でプレーしたいと考えている新人選手からしたら、全力でプレーしてしまうのなんて容易に想像がつきます。
 
そんな時にトレーナーやコーチが、
「先は長いんだから、周りに合わせず、焦らず徐々にやれば良いからね!」みたいな、安い声かけを耳にすることがあります。
 
全くもって無責任な言葉だと思っています。
 
そんな言葉には何の意味も価値もなく、抑止力にすらなっていません。
 
専門家であるならば、それなりのシステムで解決するべきです。
 

例えば、

毎朝やクール毎のフィジカルチェックや体調の確認など、各選手の課題に応じたチェックです。
(最近では多くの球団が取り入れていると聞きます)
 
このような取り組みは、トレーナー側の判断で実施可能なことだと思います。
 

その他では、
 
フロント、監督、コーチ、アナリスト、トレーナーなどで各選手の方針を話し合い、マクロ、メゾ、ミクロでプログラムを作成できれば、新人合同自主トレや初年度のキャンプで焦ったりすることは、抑えることができるかもしれません。
 
もちろん、選手に対して、説明と同意をしっかり行い、Buy-inした状態で進めて行くことは言うまでもありません。

また、ドラフトから新人合同自主トレまでの期間(約2ヶ月)に、新人合同自主トレで行う予定のことに対して準備してもらう事も、可能な範囲で実施できればよりスムーズに新人合同自主トレを進めて行けるはずです。
 
 
一方で、既存選手の自主トレはどうでしょうか?
 
SNSが普及したことにより、外の世界の私たちでもその様子が見れるようになりましたよね。
 
野球に詳しい人なら見て気づくと思いますが、
スイング、スローイング、リフティング、コンディショニング、その他全てにおいて、新人合同自主トレのような低い負荷では行っていないことが大半です。 
 
そんな選手たちと、新人選手が一斉にスタートする2月のキャンプは、想像するだけでもその両者の間に様々なギャップが起きてそうです。
 
そんなあれやこれやを考慮し、1月までの過ごし方新人合同自主トレのメニューを設定する必要があると思っています。


とにかく、憧れの世界に入ってきた選手たちが怪我なく過ごせることを願いながら、応援したいと思います。
 
 
というわけで、
【プロ野球新人合同自主トレの落とし穴】と題して、お話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂きありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。
 
それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください。
 
以上、現場の竹田祐平からでした。

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