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モルガンスタンレー證券の裁判は「レイハラ」認めず解雇は「有効」、原告側は控訴の考え

外資系金融のモルガンスタンレー証券において、韓国にルーツのあるエグゼクティブディレクターが「レイシャルハラスメントを背景にした不当解雇」を訴えた裁判で、東京地裁はレイシャルハラスメントを認めず、解雇を有効とする判決を下しました。判決後の記者会見で、原告の代理人弁護士は「レイシャルハラスメントに対しての理解が誤っている。またハラスメントに対する守秘義務の扱いと、解雇理由についても問題がある。人権意識がなさすぎる判決だ」と怒りの声をあげました。

判決では、上司の発言について、原告に「本人にはどうすることもできない、国籍を根拠にした発言は不快感を与える」「精神的苦痛を与えるものである」としながらも、口調が威圧的ではなかったことなどから「ハラスメントには該当しない」と認定されました。

原告は会見で、「日本では解雇に厳しいはず。自分が日本人だったら同じようになっていたか、と思ってしまう」と嘆いていました。原告は控訴する考えを示しました。
(発言を行った上司は、ハラスメント申し立て当時、同社の取締役であり、ダイバーシティ&インクルージョン評議会の構成員の1人でもあったということです。)

日本では、差別や人権に関する重要な裁判で、不利益を訴えるマイノリティにとって納得しかねる判決が出ることが目立ちます。
レイシャルハラスメントに関しては規制する法律がありません。また、ハラスメントの認定についても「口調が威圧的でなければハラスメントに該当しない」とするなど、裁判官はハラスメントへの基本的理解に欠いていたことも疑われます。「ハラスメント調査結果に不満があることを口外するという主観的なおそれ」を解雇事由として認めることにも疑問があります。

国連ビジネスと人権部会からは「日本では、被害者が人権救済を受けるうえで、訴訟手続きの長期化や、人権問題に関する裁判官の知識不足などが障壁となっている。日本には、独立した国家人権機関がないため、被害者が効果的な救済を受けられない。国連加盟国の大半(アメリカ除く)にある国家人権機関を日本も設置すべき」と勧告されています。
違法ではないとする判決が出たからといってお墨付きがあるわけでもなく、職場環境が健全とは限らないということも、注意喚起しないわけにはいきません。

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