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預かりボランティアやってるおばさんから犬猫を拾ったらどうするか

先日、見知らぬ人から「拾った犬を預かってほしい」というご相談が来たので、「犬や猫を拾ったらどうしたらよいか」についてお話ししようと思います。
後半は毒入りですので、傷つきやすい人や怒りっぽい人は見ないようにされるとよいかと思います。
※「毒入り注意」より下は危険地帯ですw

●前提

まず、以下の環境にある人は拾ってもよいですが、何もできないという人は拾うべきではありません。
可哀相ですが、見て見ぬふりをしてください。

・あなたは犬や猫を飼える環境ですか?
・拾った犬や猫のために数十万のお金が出せますか?

お金も出せない、場所の提供もできないでは、赤の他人に丸投げするしかなくなります。
丸投げされた方は迷惑です。

●飼える環境にある人

飼える環境にあるなら、しばらく飼ってあげてください。
もしかしたら、亡くなるまで家にいるかもしれないという覚悟も持ってください。

里親募集したからと言って、必ず見つかるわけではありません。
数ケ月~数年かかることもあり、その間に看取ることもあるでしょう。
基本的に犬や猫を拾う場合は、その動物の最後まで面倒を見る覚悟で拾いましょう。

勿論、飼うお金があることも条件です。

●拾ったらまずどうするか

1.警察に届けましょう
ペットの遺棄は犯罪です。
必ず警察に届けましょう。

2.身体の状態を見ましょう
怪我をしていないか?
病気らしい兆候はないか?
首輪にネームプレートなどがないか?
を、確認しましょう。
名札があるなら飼い主が分かる可能性もあります。
病気や怪我をしていそうなら、観察してあげましょう。

3.病院に連れていきましょう
もし先住犬がいた場合、先住犬に病気がうつる可能性もありますから、真っ先に病院に連れていってプロの目から状態を見てもらいましょう。
その時に、気になることがあればお医者さんに質問してみましょう。
この時に、以下の処置が必要になるでしょう。

・混合ワクチン接種(狂犬病とどちらを先にするかはお医者さんと相談)
・狂犬病予防接種(混合ワクチンとどちらを先にするかはお医者さんと相談)
・フィラリア検査とフィラリア薬投薬
・健康診断
・病気や怪我があれば治療
・避妊去勢手術(必要であれば)
・マイクロチップ注入(必要であれば)

絶対必要な上位4つだけでも、42100円以上かかります。
(病院によりますが、うちの近所の病院だとこれくらい)
避妊去勢手術とマイクロチップをするなら、7~80000円、さらに何らかの怪我や病気があれば数十万~数百万かかります。

4.シャンプーをしてあげましょう
家に帰ったら即座にシャンプーです。
綺麗にしてあげましょう。
拾った時点で酷く匂う場合があります。
その場合は複数回洗う必要があります。

●里親を募集する場合

1.ブログを書きましょう
犬の毎日の様子や、犬の性格、犬の注意事項など、書くことはたくさんあります。
「ハウスができるようになりました」とか「トイレシートにオシッコができるようになりました」とか、しつけができていく経過も書けば、譲渡の確率も高くなるでしょう。

2.ネットの里親を募集するためのサイトに投稿しましょう。
「いつでも里親募集中」とか「ペットのおうち」とか様々な媒体がありますので、そこに登録しましょう。
何が好きで何ができるか、何が嫌いかで注意事項は何か、どのように譲渡できるかなど、書くことはたくさんありますが、すべてを網羅しつつ簡潔に。
文章能力が問われます。

3.問い合わせが来たらお見合いしましょう
譲渡予定の犬と人間や先住犬との相性が合いそうか、家庭と犬の性格にミスマッチがないかなどと同時に、犬を虐待する可能性がないか、甘い考えで犬を飼おうとしていないか(何かあった時に捨てそうな人か)など、お話ししながら確認する必要があります。

4.お宅確認しましょう
相性がよさそうであれば、是非お宅の確認もしてください。
「この隙間から逃げそうだな」とか「網戸が緩すぎて破壊したらすぐ逃げられそう」とか、「窓際に棚があったら逃げるから窓のないところにおいてほしい」とか、犬が逃げようと思えば力づくでも逃げられる隙がないかを確認し、そこを譲渡までに変えてくれとお願いすることも大事です。

5.いよいよ譲渡
こちらからの要望にすべて答えてくれるようなら、対応後に譲渡となります。
要望に応えてくれなかった、文句を言ってきた、譲渡までに対応してくれなかった、住所が違っていた、電話番号が違っていたなど、少しでも怪しいと思ったら譲渡はやめましょう。
あとから何十年も後悔するより、この時に決めたほうが精神的にも負担になりません。

<里親募集にかかる費用>
・ガソリン代
・高速道路代
・駐車場代

●ボランティアに丸投げする場合(毒入り注意)

いきなり赤の他人に「預かってください」と言われて、「いいですよ」と簡単に受け入れる人はそういません。
団体でもホームページを見てみれば、「個人からは受け入れしてません」と明記してあるところがほとんどです。

何故か。

こういう人は本当に「丸投げ」だからです。
お金も出さない、手も出さないで、犬を右から左に流すだけなのです。
それで自分は「ああ、いいことをした」と思っています。

しかし丸投げされたこちらは、預かってからが大変なのです。
前述したように、お金もかかります。里親募集する手間もかかります。
しかも、必ず里親が見つかるかどうかも分かりません。
里親を断った人が、あることないことインターネットで悪口を書き立てるかもしれません。
そのような危険を冒しても、「犬を救いたい」という一心でボランティアをやっています。

しかも、お金も貰っていません。
募金や譲渡家庭からのご寄付くらいは貰っているでしょうが。
募金は、今のようにコロナなどで生活が苦しくなれば、一気に入ってこなくなります。
日々博打です。

個人でやっているところなどは、自腹を切ってやっています。
自分で稼いだお金を費やして、自分はボロを着てごはんも切り詰めて、寝る暇もない状態でやっている人もいます。
(私はそこまでやりませんし、何もしていない人にそこまでやれと言われる筋合いはありません)

それを、自分では何もする気のない人が、「あそこに預ければ何とかしてくれるだろう」という安易な考えで丸投げしてきます。

私もこの方に「医療費を丸ごと負担する資金がないので、私が預かるならあなたが医療費の負担をしてください」と言ったところ、「可哀相ですが保健所に連れていきます」と言われました。
結局、本気で助ける気などないのです。

「全額は無理でも、出来るだけ支払いますから、出来るだけ手伝いますから」と必死な訴えがあれば、私も出来るだけ負担しようと思っていましたが、あっさりと「じゃあ、保健所に」と言われました。

もし本当にその犬を助けたい。ならば。
資金だけでも全てあなたが払いましょう。
アルバイトでもパートでも何でもして、支払いは分割でもいいのです。
そして、里親募集系のサイトに情報をアップしたり、犬たちの世話を手伝ったり、犬ごはんを差し入れしたりなど、拾ったあなたの責任として、あなたもできる限りの協力をしましょう。

「残念ながら我が家で飼うことはできませんが、できるだけのことをします。だから、お世話だけでもお願いします!」というのが筋です。

「お金も払いません、お手伝いもしませんが、可哀相だから助けてあげて。さもなくば保健所で殺処分してもらう」というのはヤクザの言い分です。

常識的な人であれば、私の言っていることが分かるはずです。

残念ながら、こうやって犬を捨てる人がいる限り、こういうことは後を絶ちません。

結局私は、拾ったご本人の熱意が全く感じられなかったので、今回についてはお断りすることになりました。
私は一人で働いていますし、犬が2匹います。
その子たちを万全の状態で一生を過ごしてほしいです。
そしてさらに体力的にあと1・2匹は預かることは可能です。

しかし、それも「資金を出してくれる」条件で、です。
ですから、基本的には団体さんからの預かりしか引き受けておりません。
自分の生活に余裕があるときに、その団体さんに募金しているくらいです。

また、私の住む千葉県の愛護センターは、数年前と全然違う施設になりました。
数年前はワースト3くらいだったと思いますが、今は9か10番目くらいまで下がってきました。
お散歩ボランティアやトリミングボランティアを受け入れ、ドックランも作られ、センターの獣医さんが避妊去勢手術をしてくれている場合もあります。
そしてそこから引き取っている登録団体さんもたくさんいます。
出来るだけ殺処分しないように努力しようという環境になってきました。

だから、あわよくば愛護センターから小型犬メインの団体さんが引き出してくれるかもしれない、という期待もありました。
なお、千葉県では「保健所」という言い方はしません。保健所と愛護センターは別物です。

その後、問い合わせをしてきた方から連絡があり、その犬は愛護センターに引き取られたとのことです。
私が想像した通り、「殺処分はされないだろうし、団体さんが引き出してくれると思うと言われました」とのことでした。
私も最近の千葉県愛護センターは、昔に比べて格段に良くなっているという話をしました。
警察にも通報されたそうです。
早く犯人がつかまるといいなと思います。

●雑種中型犬の生活費内訳について

ここで、ご参考までに犬の生活費についてご説明します。
私は犬しか飼ったことがないので、犬についての説明だけです。

健康な雑種中型犬であれば一番生活費がかかりません。
爪切り・シャンプー・ブラッシングも自分でやってしまえば無料です。
以下に、雑種中型犬の1年にかかる生活費の内訳を紹介します。
犬を飼う必要最低生活費と思ってください。
毎月トリミングが必要だったり、大型犬だったりした場合は、これよりももっとお金がかかります。
※なお、以下は全て大体の目安です。病院により金額が全然違いますので、ご了承ください。以下は最安値でやってくれるところ限定と思ってください。(もっと安いところもあるかもしれませんが)

<初期費用目安>
・犬用品費用:100000円(ゲート・皿・クレート・ケージ・リード・首輪 etc)
・不妊手術:25000円(メスの場合、オスは15000円)
・マイクロチップ挿入:10000円
・健康診断:20000円

<年に一度>
・狂犬病予防接種:3800円(集団接種の場合)
・6種予防接種:5300円(何種やるか、金額は病院による)
・フィラリア投薬:13000円
・健康診断:20000円
・保険:50000円(保険会社による)

<毎月>
・ごはん:3000円
・おもちゃ:10000円
・おやつ:10000円

<例外>
病気・怪我:無尽蔵
トリミングの必要な犬:犬の大きさやプラン、ショップによる

以上のように、初期費用で17万円程度、生活費は年間で15万円くらいかかります。
病気になれば、その金額は無尽蔵です。
トリミングも、小型犬なら5000円くらいで済みますが、バーニーズなどの大きくて毛量の多い犬は2万円程度かかることもあります。
最低でもこのくらいですが、犬は人間と同じように、かけようと思えばいくらでもお金をかけられます。

犬1匹、保護するのにこれだけのお金がかかるということを認識したうえで、犬を拾ってください。
猫にしても同様です。

●ボランティアが預かっている犬は、どこからきているのか

では、こんなにたくさんの犬や猫をボランティアはどこから持ってきているのでしょうか。
大体、以下のようなパターンです。

・保健所、管理所、愛護センターのような、すぐ殺処分になりそうな場所
・多頭飼育崩壊などで救い出した、犬や猫数十匹
・悪徳ブリーダー崩壊などで救い出した、犬や猫数十匹

個人から引き取るまでもなく、いろんな場所で犬や猫が苦しんでいます。
個人からの引き取りにまで手が回らないのはご理解いただけますか?

数十匹も出るような多頭飼育崩壊や悪徳ブリーダー崩壊などは、団体さんがいくつか連携して数匹ずつ預かることもあります。
それだけ、本当はどこもいっぱいいっぱいなのです。

何故なら、一人で数十匹を捨てる人がいる割には、月に数匹しか里親さんが決まらないからです。
受け入れる数が多いのに、引き取られる数はほんのわずかなのです。

蛇口から滝のように水(犬)が流れ込んでいるのに、排水溝(殺処分)が閉まっていて、愛護団体が一生懸命小さなバケツで水を掻き出しているというイメージだとわかりやすいでしょう。
なのに、里親希望さんはコップ一杯の水しか引き取ってくれません。
残った水は愛護団体やボランティアにひたすら溜まり続けていくというメカニズムです。
そこが溢れると「愛護団体の多頭飼育崩壊」という危機を迎えます。

これが最近言われている、「殺処分ゼロの罪」の内情です。

●うちに犬や猫を預かってほしいという方へ

上記の記事を見ても、それでもうちに犬や猫を預かってほしいという方にお願いです。
以下の条件でなら、引き受け可能です。

・身分証明書をコピーして当方に預けていただく
・連絡先は絶対に変えない(変えたら教える)
・医療費は都度実費でお支払いいただく(里親が決まるまで何年でも)
・+ご寄付

医療費については、「●雑種中型犬の生活費内訳について」に記載のある、以下のものとなります。

<初期>
・不妊手術
・マイクロチップ挿入

<年に一度>
・健康診断
・狂犬病予防接種
・6種予防接種
・フィラリア投薬

<初期に考えられる医療行為>
・駆虫(数百円を数度)
・フィラリア強陽性なら釣上げ手術(高額)
・骨折手術(高額)
・皮膚病治療(高額)
その他いろいろ(高額?)

最初に上記全部の処置やったうえで、翌年からは<年に一度>の金額をお支払いいただきます。
物資や金銭でのご寄付はいつでもお受けしております。

勿論、引き受けたからには、我が家では上記以外にいろんなお金がかかっています。

・食費(うちの子と同じごはんやおやつをあげています)
・衛生品費(トイレシート、うんち袋、シャンプー)
・住居費(クレート、ケージ、リード、首輪、名札)
・旅費(犬連れでの家族旅行に預かりっ子だけ置いてけぼりなんてことはしません)

うちの子と同じようにしつけもしますし、遊んでもあげていますし、シャンプーも毎月してますし、体調管理もしています。
痩せていれば食べさせたり、太ったらダイエット食に切り替えたり、アレルギーがあったらアレルギー対応食(高額)に切り替えたり、おもちゃも買ってあげたりします。
ドックカフェやドックランや家族旅行にも、我が家の犬と同じように経験させています。
本当に、我が家の犬と全く同じ生活をしているのです。

上記のことからわかるように、決して儲けようと思って言っているのではありません。
むしろ赤字だし、前述したように里親募集の手間もかなりかかっています。
これで文句を言われる筋合いはありません。

もし本当に、目の前に捨てられた犬や猫を助けたいと思っているあなた。
是非、そのたった一匹くらいは、自分の手で里親さんを見つけてあげましょう。
絶対にいい経験にも勉強にもなりますし、自信にもなります。
そして、達成感もあります。
預かりボランティアは、大変なこともたくさんありますが、それを覆すくらいの良いこともたくさんあります。
決して嫌な事ばかりではありません。

犬の笑顔、里親さん家族の楽しそうな様子、それらを見たり聞いたりすると、得も言われぬ充足感と幸福感があります。
「私も何か、誰かを幸せにできる」という気持ちになります。
だから、是非多くの人に、預かりボランティアの楽しさを味わってほしいと思っています。

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