ワールドマーケティングサミット東京2019 ②午前:講演1〜ディスカッション
前回の続きです!
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今回の内容
今回は、午前中の講演内容をまとめています。
日本にある企業から見たマーケティングを、富士フイルムの小森会長・CEOとネスレ日本の高岡社長兼CEOからお話ししていただいています。
その後、コトラー教授と高岡氏のディスカッションの内容となります。
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【講演1】
「富士フィルムの経営改革」
古森重隆(富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役会長・CEO)
■21世紀に入ってからの富士フィルム
・21世紀に入って、利益の70%を占めていたカラーフィルムの市場が大幅に縮小
→経営の危機に陥る
・原因は、デジタルカメラの隆盛が加速度的に進んだことに加え、その時流を読めなかったこと
┗1987年に世界初のフルデジタルカメラ開発
写真フィルムは2000年がピーク(コダックに並んだ)→2001年に抜いた
フィルム衰退とともに売り上げが年2〜3割落ち続けた
■富士フィルムの現状
・現在の売上構成比
┗写真関連:16%
ヘルスケア&マテリアル:43%
ドキュメント(ゼロックス):41%
・イノベーションを起こす4象限マトリクス(アンゾフのマトリクス)
┗成長市場か/技術はあるか/競争力を持てるか で重点分野の策定
■経営とリーダー
・企業経営とは:価値ある商品やサービスを社会に提供→売上と利益を獲得→利益を未来に向けて投資することで次の価値を創り出し、組織を存続させていく
・リーダーに必要な考え、やるべきこと ┗10P(Photo,Predict,Plan,People,Perform,Passion,Philanthropy,Perspective, Philosophy,Power)
┗2S(現在の課題に対するSolution、将来の成長を実現するSolution)
・有事のリーダーに必要なこと;経営者の強い意志/スピード/ダイナミズム/プライオリティ→最も大事なのは、成功させること(成功させてこそ真のリーダー)
■ビジネス五体論
・仕事の成果=人間力の総和
┗目,耳,鼻,皮膚,第六感:事実・本質を掴む
頭:戦略や戦術を立てる
顔,姿勢:人間としての器を広げ、人格を磨く
口:自分の考えを表現し、コミュニケートする
ハート(心):相手を思いやり、共感を得る
腕,手:技術・スキルを磨き、必要な時には強引にでもやり抜く
腹:勇気を持って、決断し一歩踏み出す、断固やり抜く
足腰:行動力を発揮し、スピーディーに動く
・「美学/情熱/ロマン」+「現実を正しく捉える感覚」+「マッスルインテリジェンス」
→基盤となる力=真の実力を身に付けて、「賢く、正しく、強く勝つ」
※マッスルインテリジェンス:本能的な知性
■左脳で考え、右脳で閃く
・左脳:ロジカルに考える、論理の積み重ね
・右脳;本質を掴む感受性、左脳のプロセスを飛躍させる直観
・膨大な情報の中から、必要な情報を見つける
┗「Small Data,Wise decision」
■成長し続けるために、自ら変化を作り出す企業へ
・No.1/only oneの技術で新しい価値を創造し、マーケットをリード
・絶えず新しい商品や価値を生み出し続ける
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【講演2】
「Value Creation Through Innovation」
高岡浩三 氏(ネスレ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO)
■イノベーションの今
・大企業はイノベーションが起こりにくい。
┗組織の硬直など…
・コーヒー業界のイノベーション
┗85年前にインスタントコーヒー
→35年前にネスプレッソ開発
→以降は革新がない…
・イノベーションには「ディストラクティブ」と「サスティナブル」の2種類ある
★最終的には顧客の問題に行き当たる、顧客の問題解決するしかないのでは?
■日本市場の今
・日本は自前でイノベーションを起こしていかないと厳しい市場である
・日本は外資が成功していない市場である
┗ただ、キットカットは利益率2%→20数%に成長
■イノベーションとリノベーション
・普段「イノベーション」と呼んでいるものは、大半が「リノベーション」である
┗本当の「イノベーション」はとても少ない
・そもそも、マーケティングは「消費者の価値を解決するための価値創造」のこと。
・消費者が意識できている問題→既知のテクノロジーで解決=リノベーション
消費者が意識できていない問題→破壊的なテクノロジーで解決=イノベーション
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Ex.部屋の中がとても暑いという問題を解決したい
うちわ→扇風機→エアコン:イノベーション
扇風機の風速をもっと細かく、エアコンに除菌機能を搭載:リノベーション
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・市場調査は、リノベーションには使えるが、イノベーションには使えない
┗隠れている意識を掘り出せない
・本当のイノベーションは滅多に起きない
■NRPS(New Reality Problem Solution) Method
・新たな現実から新たな顧客課題を見つけ、解決方法を探るメソッド
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①New Reality:自分や自分の顧客の周囲で何か起きているか、よく観察する
②Customer’s Problem:①によって判明した顧客課題を認識する
③Solutions:②の解決方法を熟考し、実装する
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・日本の現状
┗日本は人口減少局面にある
→単身や夫婦のみの世帯が増加、家族消費から個人消費へシフト
→共働き世帯の増加、外での消費が増えている
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Ex1.NESCAFE
①New Reality:上記の日本の現状+好きな所で1杯飲むことが多くなる
②Customer’s Problem:複数のカップを用意するのが面倒
┗通常のコーヒーメーカーだと、お湯沸かす →1回に4〜5杯分のコーヒーができあがる
→面倒になって、コーヒー消費が減る
┗好きな所で1杯飲むのが当たり前に
→市場調査に出てこない
③Solutions:NESCAFE Barista、NESCAFE Dolce Gusto(1杯ごとに抽出)
※マシンは利益なし、カプセルで利益を上げる
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Ex2.キットカット
①New Reality:高級感のある、ショコラティエが作ったチョコレートが流行りだす
②Customer’s Problem:ナショナルブランドは職人技を使わずに商品化されている(手作り感が無い)
③Solutions:キットカット ショコラトリー
┗宣伝無し&価格20倍なのに、初日1時間待ち
→全世界へ展開(イギリス、ブラジル)
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■日本のイノベーション
・日本の戦後急速な発展は、ほぼリノベーション
┗日本の家電でイノベーションしたのは、SONYのウォークマンしかない
・新しい産業革命の中にいるからこそ、イノベーションが必要
・今までに解決出来なかった問題の解決=イノベーションをしなければいけない
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【ディスカッション】コトラー教授×高岡氏
※コ:コトラー教授、高:高岡氏、モ:モデレーター
《解題》IMD世界競争力ランキングから紐解く
日本は63か国中30位、長期低落傾向
┗経済と政府の順位は上昇、インフラの順位はほぼ横ばい
┗ビジネスの順位が大きく下落(サーベイ結果の下落による)
┗善意の国だが、世界の現実と乖離している…?
・コ:管理者とCEOはしっかり議論を、ビジネスチームに問いかけを。
高:日本に長くマーケティングが根付かなかったことが原因では?
経営の中(人事政策)に、イノベーションやマーケティングがない
ブルーカラーは不足しているが、ホワイトカラーは余っている(マーケティング思考)
ダイバーシティが欠落している
コ:ドラッカー「イノベーションとマーケティングが必要」
イノベーションとマーケティングの両輪が噛み合うことが大切
日本はイノベーションが不足している
VCの人と話した
→イノベーション10のうち9が失敗しても1が成功すれば利益になる
small marketing/リーンマーケティング(アジャイル型)
自分の中で完璧でも他の人では完璧ではないかもしれない
失敗することで成長していく
10ptのうち、5ptでも達成していれば良いのでは?
高:平成の30年は経済的に暗い30年だった
日本がマーケティングとイノベーションに遅れた結果、時価総額TOP50に入る日本企業が激減している
・モ:イノベーションやマーケティングに貢献できる人になるには?
コ:午後の講演で答えが出るのでは?(笑い)
高:日本の当たり前を外国の方に説明できるか?
ダイバーシティの考えが必要。
GAFAが移民2世3世であるのもそこから。
コ:そもそも、かつての日本はイノベーティブだった(カイゼンなど)
・モ:大企業におけるイノベーションは?
高:社長になった時からイノベーションアワード(全社員対象・人事評価に組み込む)を実施
顧客の課題からソリューションを考える→実行→個人で発表
基本的なタスクは個人
TOPの戦略→会社の戦略として実施→徐々にイノベーティブに
コ:日本はアイデアを出した時、横展開+上展開が必要
┗これがイノベーションを阻害している…?
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「イノベーション」とは…
今の日本企業で「イノベーション」が起きづらいのは商品企画のプロジェクトに入って、とても感じているところです。
そして、どうしても既視感・既知感のあるものしかアイデアが出てこないことばかりです。
これからUPする午後の講演内容から、イノベーションの新たなきっかけが見えた気がします。
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