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ただ在るということ

東京国立博物館で、聖林寺の十一面観音様にお会いしてきた。

うつくしい・・・と評判だったので、それを予期していたら

美というよりも、「存在」だった。


もちろん、うつくしいのだけど

大きな観音様の正面に立つと、何も考えられなくなる。

なんというか・・・邪念が全部吸い取られるような。

観音様が真空というか、バキュームというか、余分なものを全部シュッ!と消し去ってくださるような感覚で、それがとても心地良くて、じっとその場にたたずんでしまう。

日本の文化の特徴は、「真ん中が無いこと」と誰かが書いていたような気がするが、それは神道の話だったはず・・・とか思うのだが、それももはやどうでもよくなってしまう。

観音様の前にいると、「ただ在る」みたいな感じになって、それは何ともいえず、いい感じだった。


仏像を拝見して、こんな感覚になるのは初めてかな?と思って、いや、何かあったような・・・と記憶をたどったら、かつて東寺の講堂で、これに近い感じだったことを思い出した。無駄な思考がわいてこなくて、なんか気持ちいい・・・みたいな。

さすが空海さん、あの空間は、やはり特別なんだな。


このところ、ずっと探していた、「ただ在る」という感覚を、まさか観音様に教えてもらえるとは・・・我以外皆師なりとは、まさに。



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