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採用活動の「言語化」について考える

ども!@nakashimayugoです。

今回は採用活動における言語化について考えてみます。

この記事で指す言語化とは要は曖昧な情報を明確にしていこうということです。

「言語化」はビジネスではよく使うフレーズかと思いますが、僕も含めて「分かっちゃいるけども"時間があったらね"」となりやすいため、その目的や方法について深堀りしていきたいなと思います。

この記事は「採用界隈 Advent Calender」の25日目です。僕がトリでよいのか・・・と恐縮しつつ素敵な企画へ参加させていただいたことに感謝です!

他の皆様の記事も大変勉強になりましたー!みなさん読んでほしい。

イントロに近況報告を

まずはイントロに近況報告を。

「最近何しているの?」とよく聞いていただきますが、8月にLAPRASを退職したのち、今はフリーランスでお仕事をさせていただいています。採用担当者向けの講座、VC HR、採用活動全般の支援、(古巣の競合企業のお手伝いはしませんが)周辺サービスのコンサルなど採用に関わるそれぞれの視点で、抽象的な概念から具体的な活動まで関わっています。

そんなある種特殊な環境でさまざまな立場のさまざまな企業の採用に関わるなかでこのテーマについて考えることが多く、ぼくの頭の整理をこめて書きたいと思います。

ビギナーズラックの正体

言語化が大事と言っていますが、なんでもかんでもガチガチに決めて動け、と言いたいわけではありません。採用がうまくいっているのであればあえて言語化に時間をかける必要はなく、必要なときに必要な言語化ができればいいと思っています。

しかし採用がうまく行かないにも関わらず「まーなんとかなるでしょ」とふわっと採用活動を進める企業・人は非常に多いように思います。これは単に時間がないという理由ももちろんあるのですが、多くの場合ビギナーズラック:採用初期の成功体験を引きずっているように思えます。

たとえば「スタートアップで採用をはじめたばかり」「新しいポジションを公開したばかり」のときに、エージェントに依頼をしたらすぐにいい人の紹介がきた、Twitterで告知したらたくさんの応募が来たといったものです。

しかしビギナーズラックは「成功するべく成功している」と個人的には考えていて一種の下駄を履いた状態だからこそだと思っています。このことを紐解くことで言語化の必要性について考えてみます。

この"下駄"には例えば以下のような要因があります。

●誰に
ポジション一人目の業務ほど対応範囲が広くまた入社後のポストが開いておりスキル幅は広くても活かせる環境があり採用要件は広くなる。

●何を
社長やCTOなど声がけ者が差別化になっている、また魅力のあるポジションが開いている。自然発生的に魅力がついている。


●どうやって:
社長一人や
関係者が少ない状況のため認識齟齬が生まれない。工数配分や施策優先度など検討項目や制約条件が少ない。採用サービス提供者側としては利用開始時は手厚くサポートしがち。求人の新着掲載やスカウトの人材プールも枯渇していない。

ここが本題ではないので内容はMECEではないですが、主張として採用の初期段階では「曖昧さ」が許容される条件が揃っているということです。裏を返せば言語化の効果が薄く、そこに時間を使うよりも、とりあえずやってみるほうが時間あたりの成功率は高いと考えています。

採用に関わる人数が増えると「曖昧さ」が首を締める

そして、ビギナーズラックの後、つまり採用初期から抜け出たあとには上記の下駄がなくなりますので、そのままの「ふわっ」とした状態で採用をつづければ間違いなく辛くなります。

そして、この辛いことに拍車をかける要因の中で大きいものが採用に関わる人数の増加だと考えています。

ここはダブルパンチで来やすく、採用の初期フェーズが終わる頃にはある程度成功体験や慣れが生じ、もっと採用を加速させようとして人数を増やす方向に動きやすいです。

そしてこの人数の増加が言語化にとって非常に大事になります。

例えば採用ニーズの発生源である起案者の頭の中ではいろいろなやってほしい業務やその背景である業務上の課題があるはずです。そこから人事/リクルーター/RPO/エージェントなどと情報が渡る過程で伝言ゲームとなり人数が増えるほどこの解釈に違いが生じてきます。

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これが一人でやっているのであれば齟齬は生まれにくいわけです(当たり前ですが)

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つまり当たり前のことですが、チームで採用をする場合は、要件定義やハイコンテキスト・ローコンテキストをちゃんと意識しましょうという話です。

これを「伝わらないのは相手の理解力・知識がないせいだ」と勘違いするのはとても寒いと個人的には思っています。

もちろん、言語化が必要なシーンは多くありますが、特に採用に関わる人数が増えた際には言語化の必要性が高まるということはぜひ意識していただきたいです。

ではこの言語化はどのようにやっていくと効果的なのでしょうか。現場目線で重要だと思う方針・方法論を紹介していきます。

関係者全員が分かる、かつ採用サービスで閲覧できる言葉で言語化する

これまで書いた通り、人が増えるほど言語化の必要性が高まりますが、その過程でさまざまな情報の量・形が変わってきます。

例えば起案者の頭の中にはさまざまな情報が入っているにも関わらず、採用要件ではそれをたった数行で示さないといけません。

そして見落としがちですが、採用サービスを利用するのであれば、そこに保存されている情報に言い換えなければなりません。

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つまり、それぞれのフローの中でしっかりと耐えうる言語化が必要になります。

「PM採用して」と言っても、運用者の理解がなければ「PM」しか頭に残らず採用サービスでも「PM」でヒットする人以外に探せません。

関係者全員が分かる、かつ採用サービスで閲覧できる言葉で言語化することが大切です。

曖昧な議論からは曖昧な結論しか生まれない。

言語化しようとした際に、「言語化しようとヒアリングをしたけどうまく行かない」「言語化する会議ではいつも議論が発散する」といったシーンに出くわします。

これは論点が揃っていないのですが、採用活動では非常に分業化・施策の多様性が進み、また中長期と短期の話しが混ざり、そして工数、費用、各種リスク、人間関係と多くの制約条件のバランスをとりながら活動をしなければならず言語化を難しくしているように思えます。

そのためさまざまな工夫から論点を揃え、言語化の土壌を整える必要があります。そして論点を揃えるためには基本的にプロセスや施策、時間といったディメンションの認識を揃える必要がありどこの何を話していてるかを明確にしなければなりません。

どのプロセスで、どのポジションで、どの施策で、どの時間軸の話しをしているのかといったことをきちんと整理したいです。

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プロセスのモデルは抽象度の話と類似しますが、議論の粒度がずれていればまとまりません。

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方針(制約条件やKPI)を揃える

どこの話をしているのかという論点の話以外にも、自社の採用活動として何を重視すべきかといった話も決めておくとよいでしょう。多くの企業で「あれもこれも大事」ということで、結局採用要件や戦略が曖昧なまま、時間に任せるといった状態になってしまっているケースを見かけますが、効用関数的にそれらをまとめたり、優先順位をつけたり、絶対に譲れない条件を決めたりしていくべきです。

例えば採用活動をする上での優先順位を以下のように設定するとよいでしょう。

[ ] 早さ、採用期限までの確実性
[ ] 要件への妥協のなさ(ハイクラスや専門性の高い人材の場合など)
[ ] 安さ(工数や難易度が高くともまずは無料でやりたい場合など)
[ ] コストリスクのなさ(前課金サービスではなく成果報酬サービスだけを利用したい場合など)
[ ] 楽さ、手間のかからなさ(採用工数が取れない場合など)
[ ] 運用難易度の低さ(インターン生が行う場合などで採用担当者のスキルがない場合など)

おわりに。「曖昧」であることと、「幅が広い」は意味が違う

ここまで言語化について、僕の頭の中で色々とモヤっていることの整理も含め書いてきました。

おわりに「曖昧」であることと、「幅が広い」は意味が違うということについて触れたいと思います。

「言語化」という言葉を聞いた際に、たとえば採用要件の文脈で「でもそもそも応募者数が少ないから人数を増やすために広めに設定しているんだ」という方がいますが、「曖昧」であることと「幅が広い」とでは意味が違うはずです。

このことを勘違いしていると、「採用要件は満たしているのに誰も受からない」、「結果的にめちゃくちゃ優秀な人でないと採用できない」といったことや「AさんとBさんで評価がぶれる。Aさんもときと場合により違う評価をする」といったブレにも繋がります。

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本来必要なスキルが言語化できていないがゆえに、全体に採用要件を広げるしかなく、オーバースペックになりがちです。

個人的にはこの曖昧さを都合の良いように解釈さず、言語化から逃げないということが最も大事だと考えています。

言語化という言葉から逃げずに、採用活動をよりよいものにしていきましょう!





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