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チンパンジーの正義

「自由」「平等」「友愛」
フランス革命が掲げた近代の正義がこの3つです。
フリーメイソンのよって掲げられたという説もありますが、
なぜこの3つが正義の柱となっているのでしょうか?

それはこの3つを是とす感情がが僕たちの遺伝子に深く刻みこまれているからです。


チンパンジーの正義

チンパンジーはヒトと99%遺伝情報を共有しています。
現在の動物行動学では、こんな実験が行われています。
チンパンジーの心を測る実験です。

実験①
チンパンジーの群れは階級社会です。
階級を統率するのがアルファオス。わかりやすく言えばボスザルですね。
ボスザルは独裁的なイメージがあるのですが、
飼育員が最弱のチンパンジーだけにエサを与えると
ボスザルはそれを奪うのではなく、掌を上に向けて「物乞い」のポーズをします。

これはどういうことか?
「所有権(自由)」という意識がチンパンジーにもあるということです。
チンパンジーの世界では、エサは最初に見つけた者の所有物で、
たとえボスでもエサをもらうためには相手にお願いしなければならないのです。

なぜチンパンジーは所有権を尊重するのでしょうか?
それは所有権が「ナワバリの感覚」に基づいているからです。
同じ群れの中でナワバリを犯し合っていると疲弊してしまい、他の群れに襲われます。
そうならないためにも、群れの中でテリトリーを分け、配慮しながら結束を深めていったんですね。
こうして所有権の尊重は群れの調和を維持するために遺伝子に刻まれていったのです。

実験②
まず中央がガラス窓で仕切られている部屋をつくります。
分けられた部屋ににそれぞれ1頭ずつチンパンジーを入れて、2頭にきゅうりを与えました。
はじめは2頭ともおいしそうにきゅうりを食べるのですが、
一方のチンパンジーだけ、きゅうりを取り上げて代わりにバナナを与えます。
するとガラス越しにそれを見ていたもう一方のチンパンジーが、いきなりきゅうりを投げつけて怒り出しました。

これはどういうことか?
「公平性(平等)」の意識がチンパンジーにもあるということですね。
2頭はたまたま部屋に居合わせただけで、本来対等な関係です。
それなのに自分だけきゅうりで相手がバナナなのはズルいですよね?
この差別に抗議してきゅうりのチンパンジーは怒り出したのです。
つまり、平等という意識も遺伝子に刻まれているわけですね。

実験③
初対面の2頭のチンパンジーをテーブルに座らせてテーブルの中央にリンゴを置きます。
とうぜん、2頭のチンパンジーは我先にと奪い合います。
しかし、それを続けていくと一方のチンパンジーは次第に手を出さなくなります。
体の大きさなどの特徴によって自然に序列が作られていくのです。
一度階級が決まると、下位の者は上位の者にエサを差し出すようになります。

これはどういうことか?
「共同体(友愛)」の意識がチンパンジーにもあるということですね。
オスはとりわけ顕著ですが、上下関係が決まると秩序が生まれます。
所有権の時と同様、群れ内で争うと他の群れから襲撃される可能性があります。
無駄な争いを避けるためにも、上位者に逆らわず序列に従っていくんですね。

このように形成されていった群れが共同体となり、
他の群れに襲撃されたときに一丸となって戦う戦友になっていきます。
なので共同体=友愛となりやがてその熱い感情が遺伝子へ刻まれていきました。


所有権や公平性があるにも関わらず階級が生まれていく。
こう見ると何よりも優先されているのが「群れを成す」ことですね。
まず共同体が作られ、それを維持するために自由や平等が発生したと考えられます。

正義=社会の継続

チンパンジーと同様に、人間の遺伝子にもこの3つがしっかりと刻まれています。
チンパンジーもヒトも社会的な動物です。
群れ同士の摩擦や他の群れとの摩擦によって、
「どうやったら共同体を維持できるのか?」
を何万年も試行錯誤し、遺伝として後世に残してきたのです。

そしてたどり着いた答えが「自由」「平等」「友愛」でした。

「自由」「平等」「友愛」
この3つがなぜ正義となったのか?
答えはこの3つが社会を継続させるために作られた感情だからですね。

「勝てば官軍」ということわざがある通り、正義というのは後付けされるものです。
なので、遺伝によって受け継がれていったこの普遍的な感情が正義とされたわけですね。

これからの社会を継続させるためには、
この3つのバランスをとることが重要だと思います。
自由に傾けば、格差によって脱落者が増え社会はやせ細ります。
平等に傾くと、自由競争がなくなり文明は衰退していきます。
友愛に傾けば、共同体への忠誠のため、他の共同体との戦争に発展してしまいます。

AI裁判

このバランス感覚を鍛えることこそ、これから求められる道徳心ですね。
すでにAIは僕たちの発言からこの3つの感情を救い上げています。
AIはインターネットによって情報をかき集めて、それを分析しながら自己学習を続けています。
つまり、みんながネガティブなツイートをしているとAIもそんな性格になってしまうというわけです。

アメリカではすでにAIによる裁判が始まっています。
裁判長はまだ人間ですが、AIの判決を元に人を裁いています。
しかしこの判決、意外と差別的な決定が多くて問題視されているんですよね。
なぜAIがそんな判決を出すのかといえば、インターネットにそういった情報が多いからです。
もし、ネガティブな感情をこのままAIが吸い取っていけば、AIがあらゆるものを決定する未来は闇に包まれてしまうでしょう。

AIはまだまだ人間を学習し続けています。
ネガティブな情報を上回るほどのポジティブな情報をみんなで発信していけば、徐々にAIの道徳心も磨かれていきくでしょう。

この社会を継続させていくか?
それとも終わらせてしまうか?
AIは常に人間の発信を監視して、どっちに人間を導くべきか判断を迷っています。
もし、あなたが継続を望むのならバランス感覚をもって発信していきましょう。

参考
(日本人)橘玲
関暁夫の都市伝説7
BIGLOBEニュース

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