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ディープステートと潰れる商店街


グローバル化は便利さと引き換えに、様々なものを奪ってしまいます。
例えば地方の商店街がシャッター通りになったのもグローバリズムの影響です。

シャッター化する商店街

地方の商店街がシャッター通りとなった大きなきっかけは、2000年の「大店法(大規模小売店舗法)」廃止と、「大店立地法(大規模小売店舗立地法)」の制定でした。
廃止された「大店法」というのは、大型店の出店を規制する法律です。
これは中、小規模小売業を保護・育成することを目的として1974年に制定されたものです。
一方、新たに制定された「大店立地法」は、一定の条件を満たした大規模小売店舗を認めるための法で、この法の制定を機にイオンモールやコストコなどの大型商業施設が各地で乱立するようになったのです。

なぜ大店法廃止と、大店立地法の制定がグローバリズムと関係があるかというと、これはアメリカの要望によって進められたからです。
大手玩具チェーン店である「トイザらス」。
アメリカはトイザらスの日本進出を目論んでいたのですが、それを邪魔していたのが大店法でした。
そこで日米構造協議の際、日本市場の閉鎖性を示す象徴として大店法を取り上げ、規制緩和を迫ったのです。

日本の小売業は「零細性」「過多性」「多段階性」の3つが特徴だと言われています。
零細性とは、従業員4人以下の零細小売店が全体の7割を占めています。
過多性とは人口当たりの店舗数が多いことで、「多段階性」とはメーカーから小売店に流通するまで卸売業者がいくつも介入することです。
つまり日本は地方に渡って小さなお店がたくさんあったということです。
いくつもの卸売業が介入しなければならないのは、田舎にある店舗まで隅々と商品を配送するためでした。
ただ、流通にいくつもの中間業者が入ると、その分物価は高くなります。
輸送費がかさむからですね。
「こうした仕組みは消費者のためにならないのではないか」という理論で、アメリカは大店法の廃止を迫ったのです。

一方、大型チェーン店なら複数店舗の仕入れを一括で行えるようになり、流通コストが下がります。
例えば、メーカーに対してチェーン店全体の商品を仕入れたいと言えば、メーカーは価格交渉に応じてくれるでしょう。
「たくさん買うし、これからも買うから負けてくれない?」という感じですね。
こうやって小売店が直接メーカーから取り寄せたり、大型卸売業者から取り寄せをすれば流通の段階も減ります。
仕入れ値を下げて、流通コストを下げることで、消費者に低価格で販売ができるのです。
(これをローコストオペレーションと言います)

消費者にとっては、価格が安くなるのでうれしいことでした。
ただ、商店街などの小規模小売店にとってはこれは大ダメージです。
大型スーパーの方が安いので、どんどんお客を取られてしまいます。
価格競争で張り合うにも、バイイングパワー(大量仕入れできる経済力)がないので不可能。
さらに少子化による後継者不足も重なり商店街は瞬く間に衰退していってしまいました。

さて、今まで大型ショッピングセンターの進出が直接商店街を潰しているように書いてきましたが、商店街が衰退している直接的な原因は後継者不足です。
中小企業庁の平成30年度の商店街実態調査報告書によると、商店街内の店舗が廃業した理由で一番多いのが後継者不足(74%)。
後継者不足は身内の問題ではないかと思われがちですが、なぜ後継者がいないのかと問われれば儲からないからですね。
店が後継者不足でつぶれても、商店街のにお客さんがあふれていれば新規参入が現れます。
しかし、それがないからこそ商店街ごと衰退しているんですね。
やはり大型ショッピングセンターにお客さんを取られているという影響は大きい。

無縁化する社会

本来なら商店街の小規模小売店を継ぐはずだった後継者たちはどこへ行ってしまったのでしょうか?
それぞれ事情は異なるのでしょうが、多くは都会へ流出してしまっています。
地方の中心街にあった商店街が潰れていくと、そこに卸していた卸売業も潰れてしまいます。
また、地方では工場の海外移転が進められ、そこでも失業が生まれました。
こうして地方で行き場を失った失業者たちは仕事のある都会を目指します。
東京一極集中という現象はこのようにして起こっているんです。

工場の海外移転もグローバリゼーションの一環です。
そもそも大型ショッピングセンターの商品を安くするために、労働力の安い海外で商品を作らせることを目的とした流れなので。
グローバリズムはこのようにして地方から都会へ吸い上げます。
そうして都会には地縁血縁を失った人たちがあふれていきました。
中には都会で成功する人もいますが、ほとんどの場合は非正規として吸収されています。
入れ替わりの激しい非正規では職場での縁(社縁)を築くのも難しい。
高度成長期は地方から出てきた若者は、地縁や血縁から遠ざかっても終身雇用のためなんとか社縁だけは保たれていました。
しかし、今の若者は、地縁も血縁も社縁さえ失っている場合が多く、孤立へ向かっています。
グローバルと聞くと、一見輝かしいイメージがありますが、その恩恵を受けられるのは能力に恵まれたほんの一握りの人たちです。
能力のない凡人は、都会に来て非正規として労働させられるか、田舎に取り残されてしてしまうかです。
田舎に残れば地縁を失わないかと思えば、必ずしもそうとは限りません。

商店街には生活必需品をそろえるだけではなく、コミュニティ(地縁)を形成する役割もありました。
サザエさんみたいに魚屋さんと話をしたり、そこに集まった他のお客さんと井戸端会議をしたりする場だったんですね。
一方商店街に替わって建てられたショッピングモールにはその役割がありません。
お店の人は入れ替わりの激しいアルバイトが多く、毎回違う人が接客するので仲良くなれません。
お客さんもみんな色んな場所から来るので、知り合いとたまたま会うなんてことはほぼありません。
そこはコミュニティ形成には縁遠い場所で、ただただ消費のために集まっています。
一見華やかな内装ですが、実態は殺伐とした空間なんですね。
こういった意味で、田舎に取り残されても孤立してしまう。
さらに、年を取って運転できなくなると郊外のショッピングセンターには出向けないので、買い物難民として物理的にも孤立してしまいます。
子や孫に助けてもらえればいいのですが、みんな仕事を求めて都会へ行ってしまった。
そうなると田舎に残ったとしても地縁、血縁を失ってしまいます。

僕が住んでいる東京都青梅市も、大型スーパーなどの影響もあり中心街がさびれてしまったところです。
昔は映画館が3つもあったようで、映画看板と昭和レトロな街並みが特徴なのですが人通りはほとんどありません。
今ではアイドルが「青海」と間違って来てしまったという話でしか盛り上がらないところですね。
グローバリズムと聞くと、話が大きく見えてしまいますが僕の住む町でも起こっている身近な問題です。
たとえ、そこで買い物をしなくてもわが町にもノスタルジックな商店街があると思えるだけで、なんだか安心できます。

具体的なアイデアは出せませんが、どうにかしてこうした街並みを守ることも重要だと思います。
自分の住む街から個人経営の店が無くなりチェーン店ばかりになると、故郷に誇りが持てなくなります。(地元で頑張ってる人の姿が見えずらくなるので)
そうした人たちはアイデンティティを失い、簡単に故郷を離れあっという間に根無し草。孤立へと向かってしまいます。

ディープステートのグローバリズム

さてここからは陰謀論ですが、グローバリズムを推し進めるのはアメリカではなく、影の政府「ディープステート」だと言われています。
ディープステートとはロスチャイルド家などを主体とする国際金融資本家によって形成された闇の支配者たち。
その目的は「世界をお金で支配していくこと」だと考えられています。
アメリカもまた、それに乗っ取られているようですね。
もしディープステートがグローバリズムを展開することで、意図的に人々を孤立させているとしたら、それはなんのためにやっているのでしょうか?
それは国民の分断です。
人々を分断させて統治する「分断統治」の方法は植民地支配ではよく使われていました。
孤立した人たちは安い正義感によって、簡単に分断されてしまいます。
そうやって被支配層同士が争えば支配層に目がいななくなり、支配層の有利な状況を作り出すことができる。
例えば「商店街は既得権益によって守られていて、それが消費者の経済を圧迫している」と吹き込めば、消費者と商店街が分断されてしまいます。
それによって、アメリカの都合がいい大店法廃止に持っていきやすくなるんですね。
ディープステートの存在が事実かどうかに関わらず、これからもこのような対立構造は作られると思います。
人の本能は正義に燃えやすいので、誰かがちょっとでも煽ればすぐ対立構造は生まれてしまいます。
国民が対立しているときは、他国に付け込まれやすいということだけは覚えておきましょう。

商店街が衰退し、ショッピングモールが台頭してきた。
商店街でお店を構えている人にとっては、重大なことですが、一般的な国民からしたらそこまで重大なことではないのかもしれません。
ただ、それは間接的に日本人から地縁や血縁、社縁を奪っています。
便利さには必ず代償があることを頭の隅に置いておきましょう。

ちなみに、僕がディープステートに興味を持ったのは、アメリカ大統領選の報道を見てからでした。
主要メディアのほとんどが反トランプを打ち出している。その異常さに疑いを持ったからですね。
アメリカでは半分近くがトランプさんを支持しているにも関わらず、反トランプ報道しかしなかったのはアメリカン人の半数を否定するというかなり問題のある行為だと思います。

参考
中小企業庁の平成30年度の商店街実態調査報告書
トコトンやさしい小売・流通の本 鈴木邦成

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