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正義の正体

基本的な正義は次の四つに分けられると言います。

自由
平等
友愛(共同体の正義)
功利主義

功利主義最大多数の幸福を是とする正議論ですね。
様々な正義がぶつかったときに、どっちが正しいのかをジャッジする場合、
多くの人が幸せになれる方を選ぶ、という正義です。
ただ、これは少数派を犠牲にして多くの人が効用を得るというものになるので、この正義にも問題はあります。

このように、正義にはそれぞれ正しさもあるけど間違ったところもあります。
自由過ぎると平等が犠牲になるし、共同体の正義を押し付けると自由がなくなるなど。
結局のところ、絶対的な正義なんてものは存在しないんですね。

正義とは何か?

ところで、なぜ人はこうも正義について熱くなるんでしょう?
その理由は正義の正体にあります。

正義の正体、それは、

「娯楽」

つまり、エンターテイメントなんですね。


ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジのタニア・シンガーの実験によると、
悪事に対して罰則を与えるとき、脳の腹側線条体および側坐核など、
報酬に関わる領域の活動量が増大するそうです。
これらの領域はドーパミン報酬系を構成する要素で、快楽をもたらす神経系です。
セックスやドラッグの快感もこの領域が刺激されることで得られます。
特に、この現象は男性に顕著に現れました。

正義はセックスやドラッグ並みに気持ちいい。
だから、映画やドラマに勧善懲悪が多いんですね。

正義=罰則欲

人は「気持ちいい=を正しいこと」「不快=悪いこと」だと認識しています。
セックスが気持ちいい行為なのは、子孫繁栄に必要だから。
腐ったものを食べたとき、不快に感じるのは病気を防ぐため。
長い進化の過程で、気持ちいことだけをしていればうまくいくように設計されてきたんですね。

ではなぜ正義も気持ちよいと感じるようになったのでしょうか?
理由は簡単。
食料を奪われたのに反撃しなかった先祖はみんな滅んでいったからです。
逆に、違反者に罰則を与える正義心が遺伝によって引き継がれてきたんですね。

つまり正義というのは「罰則欲」ということですね。

だから中世では囚人の公開処刑に人が集まったのでしょう。
みんな、残酷な娯楽を欲していたんです。

正義を取引

ネットの書き込みを見ると、正義を求める声が多くあります。
ただ、多くの正義論は罰則を求めるものばかり。
これは中世の公開処刑に群がる市民とよく似ています。
(実際に「殺せ」「死ね」という書き込みもあります)

「正義は単なる罰則欲」
こういった認識を大勢が持てば、不毛な正議論に巻き込まれず、
解決に向けた議論ができると思います。

正義と正義がぶつかった場合、有効な解決方法は取引です。
取引とは、妥協し合って共存の道を探すことですね。
正義と聞くとどうしてもシロクロつけてしまいがちですが、
現実はグレーゾーンの探り合いでしか解決できません。

参考
「読まなくてもいい本」の読書案内 橘玲
研究者倫理
WIRED

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