ライオン物語 社会活動編①

「ライオンの隠れ家」は福祉事業を行う一般社団法人です。私たちは社会変革(いまの社会を新しい概念の社会に変える)を目的に会社を立ち上げました。目標は、「やさしさの循環する社会」「何があっても生きていけるような社会システムのひな型を創ること」です。そして、人々が「個」であり「孤」になりつつある現代、「血縁によらない共助コミュニティ」こそが「生きていける社会システム」の土台だと思っています。
  さて。実際の法人としての取り組みとして、福祉事業を手掛けることになりました。というのも、運営理事に持ち込まれる「いま手を貸して欲しい」という相談は、まさに人生が崩れるかどうかの瀬戸際の話が多かったのです。ライオンの隠れ家が最初に取り組んだのは、乱れた生活環境で18歳に到達しない若い女性が妊娠しているのを保護するというケースでした。
  彼女を環境から救い出したいという一人の理事の思いから、借りたばかりの古民家に人が住めるよう突貫で整頓掃除作業を行いました。水道電気ガスを通しお風呂の埃を落とし、煤を払い、食器を洗い、布団や洗濯機を搬入。カーテンを取り付け、住む部屋一室だけでもタイルカーペットを敷き詰める。そして彼女をライオンに迎え入れました。
  「よかった。食事が貧しく妊婦健診にもいけていなくて喫煙もする彼女が、まずは安全に赤ちゃんを産めるように環境を整えることができた」私たちは、まずは、目の前の人の急場に対応できたと、ほっと胸を撫でおろしました。ところが。。。
  「大体は、逆恨みをされるようなことになる」と代表がよく話すんですが、多くのケースは反発し元の環境に戻るのだそうです。「ここから逃げ出したい」「このままでは精神が壊れる」。始まりは当事者からの「ヘルプ」。けれど、それを受けて対応しても、結果的に「やっぱり元の環境が自分にとってよかった。どうして自分の環境を変えてくれたんだ!」と逆恨みされる事が多いそう。そして当人は劣悪な環境に戻る、と。。。私には考えられない事です。
  この彼女もお腹の子どもの父親ら数名と複雑な男女関係にある環境にたった2日で戻っていってしまいました。すべての現象はその人の潜在意識が「自らが望んで」作り出している(副代表談)という事なのでしょう。「人生の瀬戸際」の現場に携わった事のない私には、初っ端から私の概念をぶっ飛ばされるような出来事でした。
  一方で、私は彼女を通して「すべての現象はプロセスである」をリアルに体験しました。彼女のお陰で眠っていた大きな古民家が驚きの速さで再生したからです。「望んだ結果でないこと」と「望みの結果」が同時に起きたのは、私たちに起きる出来事はすべて、「私たち自身の」プロセスなんだ、と実感したのです。


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