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三略講釈【上略-24】

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
今回が上略編の最後となります。

本文現代語訳

「軍讖には、『腹黒い者達がお互いに褒め合って、主君の目をくらまそうとする。また、必要以上に他人を貶めたり褒めたたえたりして、主君の耳を塞ごうとする。自分に都合のいいことだけを報告して気に入られ、心から忠誠を誓う者を主君から遠ざけようとする。そこで君主が、彼らの意見がおかしいと言うことに気付けば、腹黒い者達の企みを暴くことができる。そして清廉潔癖な賢者を登用すれば、腹黒い者達は自然と居なくなるだろう。また、主君が長く仕えてきた老臣を傍に置けば、万事が上手く行くのである。在野の信念を持つ人物を登用すれば、その能力を活用することが出来る。国の事業が民衆にも理解されれば、民衆の協力を得られてその事業は成功する。民衆の信頼を失わないようにすれば、君主の人徳は天下に満ち溢れるだろう』と書かれている」

解説

周りに悪い影響を与える腹黒い者達は、あの手この手を使って君主の目と耳を塞ぎ、自分達の都合の良いように物事を進めようとします。
君主はこれに騙されないように広く意見を聞き、自分で考え、おかしな意見を言う者を排除しなければなりません。
その時に手助けとなるのが、純粋な忠誠心により長年仕えた来た古くからの家臣です。
このような者は私心のない公平な意見を述べるので、偏った意見を言う者達の言葉から君主を守ってくれます。
そうやって腹黒い者達を退け、野にいる優秀な人材を登用して活躍させ、国の進むべき方向を民衆に指し示して理解が得られれば、その国が発展するのは間違いありません。
このように家臣や民衆と接して行けば道理に則っており、無理なく国を治めることができます。

数回にわたって家臣や役人など、君主に仕える者達の話をしてきました。
一言でまとめてしまえば、人物の見極め方、接し方、処置の仕方などは、難しいものではありますが君主には絶対に必要な知識だと言うことです。
人の心を治めてこそ国が治まるということだと理解して頂ければ、大きな違いはないと思います。

ここまでが上略の内容となります。
次回からは中略編の講釈を進めていきます。
それではまた、次回お会い致しましょう。

次の記事(中略編へ)


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