三略講釈【上略-14】
皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
まだまだ先は長いので、どんどん講釈を進めていきます。
本文現代語訳
「軍讖には、『名将が一軍を統率する時は、まずは自分が思いやりを持って人と接する』と書かれている。思いやりをもって兵士に恩恵を与えてやれば、兵士の士気は日に日に高まっていく。その状態で戦えば、疾風のように動き、敵を攻めるときは決壊した河の水のような勢いで襲い掛かる。だから敵はあえて戦おうとせず、実際に戦闘になることもないだろう。敵は降伏するしかなく、勝とうとすら思わないのである。このように、まずは将軍自身が他人より先に思いやりを持って人と接する。だからこそ天下無双の軍となれるのである。
また軍讖には、『軍内では褒賞を表とし、刑罰を裏とする』と書かれている。賞罰が明確に行われていれば、将軍の威厳は保たれる。良い人材を得ることができれば、将兵は自然と服従する。もしその人材が賢者と呼ばれる程の人物であれば、敵国も我が国のことを恐れるようになるのである」
解説
これは前回も少し話が出て来た、軍隊の統率を取ることに関する話です。
将軍が率先して思いやりの心を持って兵士に接すれば、兵士はそれをありがたいと思って将軍を信頼し、最終的には「この将軍のためなら死んでも良い」と思うようになります。
ここまで将軍への信頼が高まれば兵士が戦う時に迷いはなく、その勢いは一度貯めてから一気に流した大河の水のように敵を飲み込み殲滅します。
このように強い軍隊が相手であれば、敵は敢えて戦おうとはせず、降服するしかありません。
また賞罰の重要性についても再度述べられています。
賞罰が明確で公正であれば、正しく自分の働きが評価されると信じて良い人材が集まりやすくなります。
良い人材が居れば軍内は自然と治まり、良い人材が多い国ならば敵国も下手に手出しができなくなります。
このようなわけで、賞罰によって将軍の威厳が保たれると言えるのです。
将軍が率先して兵士を思いやり、そのことを行動によって示すことで天下無双の軍隊となることができるのです。
今回の講釈はここまでと致しましょう。
それではまた、次回お会い致しましょう。
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