君主の戦い
皆さんこんばんは、弓削彼方です。
今回と次回は、一国を治める君主に関するお話です。
まずは君主の戦いとは何かというお話です。
少し長いので、訳文のみとなります。
現代語訳
「国土が広くて開拓に努めれば、国力は充実する。人口が多くて法律が整っていれば、政治は安定する。国力が充実して政治も安定していれば、あえて武力に訴えなくても、天下を制することができる。
だから戦争の勝敗は、政治によって決定されると言われるのである。
武力に訴えずに勝つのが君主の勝ち方であり、武力によって勝つのが将軍の勝ち方である」
訳文にあるように、軍隊を動かして戦いに勝つのは将軍の仕事です。
では君主の仕事は何かといえば、国力を充実させ、政治を安定させ、そうやって強大な国を作ることです。
強大な国を作れば自然と軍備が整いますし、軍備が整えば、周りの国は敢えてそんな国と戦争をしようとは思いません。
そうすることで戦わずとも自然と周りの国を服従させ、天下を治めることができます。
この国造りこそが、君主の一番の仕事なのです。
確かに君主も戦場に出て、将軍と一緒に指揮を執って戦うこともあるでしょう。
しかし、それは君主の主たる仕事ではないのです。
強大な国を作り上げることが君主の戦いであり、内政の場こそが君主の戦場なのです。
最初の兵法講座で「兵法書には軍事に関することと共に、政治に関することも書かれている」とお話しましたが、この内政に関することも書かれている理由がこれなのです。
兵法を学ぶ時はとかく軍事に関する内容に目が行きがちですが、例えば組織の長たる立場を目指す人は、政治に関する内容に重きを置く方が、より自分に必要な知識を得られると思います。
本日の解説はここまでです。
それではまた、次回の講義でお会いしましょう。
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