援軍の重要性
皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は味方の援軍についてのお話です。
守った後には反撃が必要ですが、その反撃の決定打となるのが今回説明する援軍です。
お時間がある方は、動画もご覧ください。
原文と現代語訳を見て行きましょう。
原文
「攻むる者は、十余万の衆を下らず。それ必ず救う軍の有る者は、則ち必ず守るの城有り。必ず救う軍の無き者は、則ち必ず守るの城無し。
もし彼の城堅くして救い誠なれば、則ち愚夫蠢婦も城を蔽い資血を尽くさざるなし。城は期年の城にして、守りは攻むる者に余り、救いは守る者に余ればなり」
現代語訳
「攻撃側が十万を超える大軍であったとしても、防衛側に必ず援軍が来るのであれば、その城を必ず守り切ることが出来る。逆に援軍の見込みがなければ、守り切ることはできないだろう。
城が堅固であり、必ず援軍が来るとなれば、戦いの知識が無く力の弱い一般人でも、城を守るために一緒に戦い全力を尽くすだろう。そうなれば城の守りは完璧で、防衛側にも余力が生まれ、さらに味方の援軍が到着すれば、攻撃側を追い返すのに十分な戦力が整うのである」
前回の講義でお話しましたが、籠城戦の原則を守って戦えば、城は簡単には落ちません。
しかし、守る一方では攻撃側も諦めず、いずれ戦力を削られて降伏することになります。
そこで本国や味方の別の城が、攻撃を受けている城を救うために援軍を出すのです。
そして無事に援軍が到着し、城もまだ健在であれば、次は攻撃側を挟み撃ちにして有利な状態で攻撃する事が出来ます。
そうなって初めて敵は城の攻略を諦め、囲いを解いて撤退するのです。
だから援軍とは、防衛戦における重要な要素の一つとなります。
さらに援軍には、重要な効果もあります。
それは味方の士気を維持・向上させることです。
兵法が生まれた中国での城とは城塞都市であり、籠城戦となると兵士達と共に民間人も一緒に城に立て籠もりました。
このような民間人は基本として戦力に数えません。
彼らも城が落ちれば財産を奪われたり殺されたりするかもしれないので、生き延びるのに必死ですが、恐怖によって何も出来ない事もあります。
そんな時に味方の援軍が助けに向かっている、こう言う希望があれば、生き延びる可能性を少しでも増やすために、必死になって軍に協力し手助けをしてくれます。
また民間人の助力を期待しないにしても、援軍が来ると分かれば味方の兵士の士気が上がります。
民間人が協力し、味方の兵士の士気も上がるとなれば、ますます城を守り切る可能性が高くなります。
だからこそ、城内に立て籠もる兵士と人々に希望を与えるためにも、援軍は必要なのです。
この様に援軍は、救援に向かうだけでも味方の士気を向上させ、現地に到着すれば実際の戦力として大いに役立ちます。
そして籠城していた味方と連携して敵を撃ち破って、救援と言う目的を果たします。
また損害を受けた敵は、兵力回復のためにしばらくの間は侵攻して来ることはないので、その地域の当面の安全を確保することもできます。
この様に味方を救い敵に損害を与える決定打になるからこそ、援軍とは非常に重要なのです。
これが援軍と言うものが、非常に重要である理由です。
野戦での防御、そして拠点の防衛と一通り守りについて解説してきました。
攻め方を心得て守り方を心得れば、毎回大勝利とはいかなくても、大きな失敗をして大敗することはありません。
下の記事から始まる攻めの話5回分と、この話を含めた守りの話7回分は、思い出した時に何度でも読み返して下さい。
何度も繰り返して学び直せば、必ず修得できる戦いの基礎です。
今回の解説はここまでです。
それではまた、次の講義でお会い致しましょう。
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