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兵士の人心を得る行動

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
人心を得るシリーズも、今回で最後。
今回は、兵士の人心を得るための行動です。
詳しい解説は動画をご覧ください。

まずは、原文と現代語訳を見ていきましょう。

原文
「夫れ将帥は、必ず士卒と滋味を同じくして、安危を共にすれば、敵、乃ち加うべし。
 故に兵に全勝有り、敵に全因有り」

現代語訳
「将軍が必ず兵士達と同じ物を食べ、安全な時も危険な時も一緒に行動すれば、敵に一丸となって当たることが出来る。
 だからこそ、味方は全勝し、敵は全敗となるのである」

戦いの最中に行動を共にするのは当然として、食事や普段の待遇も兵士達となるべく同じにし、そうやって苦楽を共にすることが、兵士達の人心を得るために一番効果的な行動だと述べられています。

これ関しては一つエピソードがあるのでご紹介しましょう。

昔の名将と名高い将軍が、村の者から出陣前の差し入れとして酒を一樽受け取りました。
これは将軍と幹部が飲むには十分ですが、全軍の兵士達に分けられるほどの量ではありません。
そこで将軍は酒を全部川に流して、まず自分がその川の水を飲み、次に兵士達にも同じように水を飲むように勧めました
当然、これで川の水が酒の味に変わるわけでは無いのですが、全軍の兵士がが将軍のために命を捨てる覚悟を持ちました。
何故ならば、兵士達は将軍が幹部達だけで酒を飲むのではなく、川に酒を流してでも兵士達と同じものを口にすると言う、将軍の心遣いに感激したからです。

こうやって、実際に将軍も兵士も分け隔てなく同じものを口にすると言う、原文の「必ず士卒と滋味を同じくして」を実行したわけです。
だからこそ、この将軍は兵士達の人心を得ることができ、そのおかげで兵士達は将軍の為に命を捨てても良いと思って存分に戦ったのです。

何度かに分けて説明した、人心を得る方法のお話はこれで一先ず終了です。
時代が変わっても人の心を掴む方法にさして違いはないはずです。
今回学んだことを、皆さまの人付き合いに活かせて貰えたら幸いです。


今回の解説はここまでとしましょう。
それではまた、次回の講義でお会いしましょう。

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