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将軍の資質

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は将軍の資質についてのお話です。
一軍を預かる将軍に必要なものは何か?と言うことを、解説して行きたいと思います。
大事な部分ですので、動画も見てしっかり学んで頂ければと思います。


原文
「将に五材あり。所謂五材とは、勇、智、仁、信、忠なり。
 勇なれば、則ち犯すべからず。智なれば、則ち乱すべからず。仁なれば、則ち人を愛す。信なれば、則ち欺かず。忠なれば、則ち二心なし」

現代語訳
「将軍には五つの必要な資質がある。その五つの資質とは、勇気、智恵、仁愛、信義、忠節である。
 勇気があれば果敢に行動するので、敵は手出しができない。智恵があれば正しい判断ができるので、迷うことはない。仁愛があれば人を愛するので、兵士からも愛される。信義があれば人を欺かないので、他人から信頼される。忠節があれば裏切ることは無いので、君主や国のために全力を尽くす

一つずつ、もう少し詳しく解説していきましょう。

1.勇気
将軍に勇気が必要なのは言うまでもありません。
この勇気は大きく二つに分かれ、敵を恐れない勇気決断する勇気です。
よく退くことも勇気と言いますが、どうにも手の打ちようが無い時は、他者からの批判を恐れずに退却・撤退を決断する勇気が大事です。

2.智恵
敵の動きを予想する智恵、地形の良し悪しを見る智恵、作戦や裏工作を考える智恵など、智恵にも色々な種類があります。
将軍に特に必要な智恵は、冷静に戦況を判断して最悪ではない手を選ぶ智恵です。
選ぶ手段は必ずしも最高である必要はなく、味方が大敗しない道理に沿った手段を選べることが重要です。
また智恵に関しては、参謀や軍師が補ってくれることも多いので、戦いの道理を理解する程度でも問題ない場合が多いでしょう。

3.仁愛
これは特に前線で働く末端の兵士に対する愛情です。
どれほど素晴らしい作戦を考えても、実際に行動するのは兵士達です。
その兵士達が「こんなことは出来ない」と思うような状態では、勝てる戦いにも勝てません。
兵士達の苦労を思いやって、時には兵士達と一緒に苦楽を共にすることが、将軍に必要な仁愛となります。

4.信義
信義とは約束を守り、他人から信頼されることです。
兵士達に褒美を約束しておきながら褒美を与えなかったとなれば、兵士は将軍を信じることが出来ず、生死を共にする覚悟で働かなくなるでしょう。
また敵に対しても、停戦交渉や降伏を促すなど、敵対する者同士でも最低限の信頼を頼りにして行う交渉があります。
その時に「あの将軍は約束を守らない。信頼できない」となれば、無駄な血を流すことに繋がりかねません。
だからこそ、将軍には信義が大事なのです。

5.忠節
この忠節は信義と似ていますが、信義は「嘘をつかない、約束を守る」と言う意味合いが強く、忠節は「誠意を尽くす」と言う所に重きが置かれています。
単に約束を守ると言う以上に、「相手(君主)の為になることをする。場合によっては、自分が疎まれても国の為になる道を選ぶ」と言うことです。
これが忠節の中に含まれている、誠意とか誠実と言われるものです。

以上が、将軍に必要な五つの資質です。
将軍を目指すならば、この五つの資質の話を念頭に置いて、自身の成長を目指さなければいけません。
また、自分が良き将軍であるかを省みる時は、この五つについて考えていけば、自分の足りない部分が見えて来ることでしょう。

本日の解説はここまでです。
次回も将軍に関するお話を致します。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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