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軍学にはこの4冊!

皆さまこんばんは、軍師の弓削彼方です。
軍学を極めるためには兵法書を読み、現代の軍事学書を学んで幅広く知識を蓄える必要があります。
しかしなかなか書に向き合う時間が取れない人や、これから学び始めるための取っ掛かりとなる書を知りたい人のために、「ぜひこの4冊を!」と言うものを選びましたので、参考にして頂ければと思います。

■孫子


兵法書の起原にして頂点とも言うべき存在である孫子は外せません。
まずは孫子で兵法の基礎を学び、最後に兵法の真髄を知る為にまた孫子に戻ると言っても過言ではないほど、その内容は多岐に渡り、その上で要点のみを的確に押さえている書だと言えます。
少し抽象的な表現が多いですが、そこは戦争や戦いと言うものを知っていくことで「こう言うことだったのか」と理解することができます。
ですので、最初は理解しにくい部分があってもそのまま最後まで読み終え、自分が成長した段階でまた読み直すと新しい発見があることでしょう。
全ての始まりである孫子だけは必ず学ぶ必要があります。

■三略


武経七書の一つで、太公望が残したとされる書です。
三略では礼節や道徳、内政に関することなど国を治めるための知識が中心となっています。
兵法や軍学と聞くとどうしても戦場で役立つ戦闘に関する知識を思い浮かべてしまいますが、軍を維持するためには国が豊かで必要な物資が供給されると言う担保が必要です。
その為に内政の知識は必要不可欠であり、よく国が治まっているからこそ軍が戦場で戦うことができるのです。
当然直接戦闘に関する知識も書かれていますが、その根本には礼節と道徳が秘められています。
戦いに勝ち領土を広げるのは、我が国を豊かにし国民の生活を保障するためです。
このような理由で、私は礼節や内政に関する智恵が豊富な三略をぜひ読むべき書の一つとしています。

■李衛公問対


武経七書の中では一番新しい書になります。
孫子を始め他の武経七書は紀元前に書かれたものだとされていますが、この李衛公問対は三国志の時代よりさらに後の唐の時代に書かれたものです。
この書の特徴は唐の皇帝である太宗とその配下の李靖が、孫子などの他の兵法書や歴史上の人物の名を挙げて兵法について論じていることです。
このおかげで、例えば抽象的な表現が多い孫子の内容をもっと分かりやすい解釈で理解することができたり、歴史上実際に起こった戦いを基に具体的な解説がされていることで、どのような兵法の理論に則って行動していたのかを知ることができます。
当然李衛公問対で初めて得る知識もある一方で、他の兵法書についている論じられている部分を読むことにより、自分が他の兵法書で得た知識の解釈が正しいかの答え合わせができる書にもなっているのです。
この様な使い方ができるので、私がお勧めする書の一つになっています。

■雑兵物語


この書は皆さまの国である日本で、戦国時代も終わり徳川の世になってから生まれたものです。
戦国時代を生きた雑兵達に必要だった戦場で生き抜くための智恵を集めた書となっています。
ですので、君主や将軍として一軍を統率することを前提とした兵法書と違い、今まさに目の前の敵と戦わないといけない一兵卒としての視点で戦場を知ることができます。
だからと言って狭い視点で語られているわけではありません。
例えば本文に「弓は鉄砲と一緒に射ってならねぇ。鉄砲が弾を込めてる間に射るもんだ」と言う一文があります。
これは威力は高くても弾込めに時間がかかる鉄砲と、その隙間を埋められる弓との連携です。
小さな視点では鉄砲と弓が得手不得手を互いに補うだけですが、これは大きな視点で言えば歩兵と騎兵が連携するのと本質は同じです。
この様に一兵卒の視点で直感的に兵法の本質を衝いているのがこの雑兵物語なのです。
雑兵物語に登場する雑兵達は皆さまと同じ普通の人間の視点で物事を見ているため、話が具体的で飲み込みやすいのではないかと思います。
このような理由で、他の兵法書とは違った視点で物事知ることができるこの書をお勧めしています。

■おわりに


今回は4冊だけに絞って、必ず読んで欲しいと思う書をご紹介しました。
当然本格的に軍学を学ぶのであれば武経七書には全て目を通して欲しいですし、軍事学書である戦争論や戦争概論のような西洋の書にも興味を持って欲しいと思っています。
しかしながら、現代では手軽に古今東西の価値ある書が簡単に手に入り、その選択肢の多さ故に「どこから手を付ければよいか分からない」と言う問題が皆さまを悩ませることも多いでしょう。
そこで今回、差し出がましいことと思いながらも私が特に有用だと思う4冊の書をご紹介させて頂きました。
もしこの記事が、皆さまが軍学を学ぶ上での道しるべになれるのであれば幸いです。

今回の話はここまでと致しましょう。
それではまた次回、お会い致しましょう。



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