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湯気 川柳村

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湯気の川柳村
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#yugesenryu

おやつ食べ 水の中のこと 反芻す

夏のプールは最高だ。 さっき教えてもらった泳ぎ方のフォームを思い出し、おやつを食べる。 水の中の感覚がまだ近くにある。 プールのあとのおやつも、最高だ。

にぎやかな 網戸のセミと いびきかな

夏の午後、やけにセミの鳴く声が大きいと思えば、 網戸の外にひっついて、鳴いたり止んだりしているのだ。 そこに隣室より、なにやらイビキも聞こえ出した。 ひと息つきながら、音の中に居ると、どちらの音も夏の空気と混ざっていく。

やりたいな こわいなぁでも やりたいな

やりたいことをできる機会に恵まれて、さっと行動に移せるならいいけれど、気持ちが強い分こじらせると言いますか、前に進むことに、もじもじしてしまう。 なんだかわからないけど、怖い。 失敗のイメージが「怖い」のか、実現する興奮感が「怖い」のか、変化の予感から本能的に「怖い」のか。まぁ、どれもあるのです。 ただ、肝心なのは、やりたいに挟まれていることです。

思いだす ああこんなにも 降るんだと

季節の印象は曖昧だ。 実際の梅雨の雨の日、晴れ間からのザーザー降りの外を眺めて、 梅雨ってこうだったよなとやっと実感する。 そうやって少し経てば、またぼんやりとしていく。

梅ほじる 降り出した雨 梅雨入りか

昨日取ってきた青梅を漬ける準備。 青梅をきれいに洗い、水気をとり、竹串でヘタをとる。すぐ終わると思って始めたが、ヘタをくいっときれいに取るにもコツがいる。一粒ずつやっていく。いつの間にやら夢中になる。 指先の青梅に一点集中していると、窓を打つ雨音が聞こえ始める。 先ほどお天気アプリの速報で、梅雨入りを告げていたっけ。

至福かな 湯にほぐされて 唸りでる

湯船に沈んだ時、全身が解きほぐされて、身体の根底から唸り声が出る。 あれは一体、何者の声なんだろう。 お風呂でしか聞けない、己の声もあるよね。

悩みごと 蒸籠に聞けば 蒸しパンのまる

台所でタイマーを眺め、蒸しあがるのを待っていると、ふと、どうしたものかと悩みごとが頭をもたげる。思考しているうちに、タイマーが鳴り、蒸籠をあけると湯気の中に蒸しパンが、丸く丸く膨らんでいる。完璧な丸。答えはここにあったのか。

ニュース見て 夜中に響く カレーせん

カレーせんとは、カレー味のスナックせんべい。かじるとバリッとした音がよく響く。 緊急事態宣言が解除されたニュースを見ながら、無性に食べたくなり、かじる。せんべいの音が室内に虚しく響いた。 虚しいなと思いつつ、今、せんべいをかじり、ここに生きているのかと安堵感もしみじみと湧いた。

湯あがりに アーモンドフィッシュ 大人だな

甘塩コーティングの小魚、カットアーモンドが小袋に入ったお菓子「アーモンドフィッシュ」。幼少期、親に許された数少ないおやつのひとつ。 最近久しぶりに見かけて購入。パッケージそのまま、懐かしの味。 で、今のが美味しく感じる。味覚の変化か、味の進化か。一気に3袋、袋から直食い。 もう、好きな時に、好きなだけ食べられる。

かの人の 心の隙間に アーモンド

アーモンドとはアーモンド型のボールから、ラグビーをさす。(自己解釈強め) 夫が長期の出張中、その心の隙間にラグビーがトライ。

日々つづる 過去の我をば うつくしく

10年日記というものを付けている。 ページを開くと、見開き2ページが一日の日付けで、それが10段に分かれていて、一冊に10年分の日記が書けるようになっている。 日記を書きながら、ちょうど一年前の自分が何していたのか覗く。 これをしたくて書いている。ほぼ忘れていることがつらつらと。 はじめは、偶発的な発見、例:同じ日に偶然同じ人にばったり、とかを楽しみにしていた。最近は、過去の状況と今日を省みて、少しの進歩を褒めてみたりする。 1年の変化はうっすらだ。しかし、2年、3年は結構、

野の草の 緋色に褐色 いとおかし

冬が深まっていく。野の草も色をなくす。 無くす前の緋色、色を無くした褐色、これもまたいい景色。