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ミャークヌーマ 宮古馬の会「馬と人のこれからサミット」に参加して

ミャークヌーマ 宮古馬の会で主催された「馬と人のこれからサミット」に参加してきました。馬が好きな人、馬にたずさわる人生をあゆんできた人、背景さまざまな人が宮古馬のことで集う、とても貴重な催しでした。とくに各地の在来馬に関わる方々のお話を聞けたことが、本当によかったです。

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長野県の木曽馬は、一度は天然記念物の指定からはずされ、存続の危機にたたされますが、保存会の方々の活動があって、飼育数を増やしてきたといいます。そのきっかけとなったのが、2週間かけて馬と人で東京をめざす”東京キャラバン”。

いく先々で子どもたちに馬に乗ってもらい、地元のメディアの取材を受けーーそうして注目をあつめた結果、JRAというスポンサーを得て、さらに県の天然記念物の指定を取り戻すことができたのだそうです。3年がかりのイベントの成果はとても大きかったのですね、

現在では「木曽馬の里」で本州ゆいいつの在来馬に会うことができますが、今でも決して苦労がないわけではないようです。宮古馬の事情を知って、他人事には思えず、今回はるばる海を越えてかけつけてくれたのでした。

また、私もTwitterで更新を楽しみにしている都井岬の御崎馬のお話も聞けました。御崎馬はなるべく野生で生きていくようにと、人の手を加えないようにしているのだそう。馬たちが食べる草の種をまいたり、食べない草を間引いたり、年に一回の頭数管理をしたりはするようですが、雨が降っても病気になっても、基本的には馬たちの生きる力にまかせます。

御崎馬の自然の風景とともに生きる姿は、本当に心をうたれます。いつか都井岬に行って、自然のままに暮らす馬たちを眺めたい、と、人生の目標がひとつ増えました...笑

淡路島のシェアホースアイランドさんはサミットにあたってメッセージを届けてくださいました。長らく人の歴史によりそって馬が私たちに与えてくれたものが、今の時代には必要なくなってきています。そんな今だからこそ、違った目線で新しい価値をさがしていかなければいけない。

新しい価値、それはホースセラピーなどでもいいのですが、専門性が高すぎると広がりをもてない。ではどうすればいいのか? それが私たちが抱えていかざるを得ない問題でもありますが、シェアホースアイランドさんからは、「くらしに馬を」というキーワードを投げかけてくれました。

馬のあるくらしのものを価値にしていく。その言葉は、「馬に頼るくらし」というサイズ感に、私たちの生活を合わせていくことのように感じました。たとえば私たちがふだん口にする食べ物が、私たちの見ることのできないずっと遠くで作られて届けられること。たとえばですけれど、そういった生きるために必要なことを、私たちの手にとりもどすような。

今の時代に広い世界から届けられる恵みを、拒否することはとても難しい。けれどもその"生きていること"の実感をすこしずつ取り戻したい、という思いの人も少なくないはず。私たちにできることはきっとハイブリッドな生活くらいでしかないけれど、その寸尺を「馬のいるくらし」に見るというのも、ひとつなのかなと思ったりしました。

宮古島からは、宮古馬保存会の設立にもたずさわった方が、宮古馬の学術的なお話をしてくださいました。懇親会でモンゴルの話になったとき、ぱっと表情が輝いて、いちばん行きたい場所がモンゴルなんだとおっしゃっておられたのが印象的でした。

モンゴル馬を祖先とする日本の在来馬は、奄美大島などを経由して沖縄に入ってきたと考えられ、のちには明との交易でも馬のやりとりがみられるそうです。江戸にも献上された歴史をもつ琉球馬ですが、明治以降は軍馬の育成が優先され、在来馬の数は激減しました。在来馬のほとんどが離島に残っているのは、その影響を受けにくかったためなのでしょう。

新聞社の方も取材にこられて、日本各地の遠方から足を運んでこられた参加者を見て、文化に対する意識の違いに、わが島を省みる思いをお話されていたのだと聞きました。参加者のほとんどが県外の方だったことを思うと、私も同じ思いを抱かざるを得ません。

どうすれば在来馬の現状を変えていけるのか。参加して思ったことは、今いる場所でできることを、少しずつでもしていく、ということでした。積み重ねを続けて、島外のひと、島内のひとに宮古馬のことを知ってもらい、良い方向へと変えるきっかけに結びつけていきたいと思います。


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