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月9ドラマ「デート」第2話感想


第2回のデートは遊園地。今回も最初から小ネタがたくさん。

カップルの「じゃんけんほい!こっちもっと来い!」には声出して笑ったし、依子と巧のあっちむいてホイのテンポの良さ、母親に無茶苦茶なことを言ってお金をせびる巧、ジェットコースターに乗ってもお化け屋敷に入っても常に真顔な依子……話の本筋に沿りつつ、クスッと笑えるユーモアが散りばめられているのがやはり面白すぎます。

あとニート(高等遊民)の生活描写がリアルすぎてすごい。12時半に起床、朝食がないからとピザを頼もうとしたり、ネットで買った漫画の料金を母親に出してもらおうとしたり、お小遣いをせびったり…でも巧には焦りも罪悪感も大してないし、むしろ開き直ってるという。


巧の唯一の友達のヤンキー・島田兄(松尾諭)とその妹・佳織(国仲涼子)がまたいい味出してて良いです。お節介だしポイントが色々ずれてるんだけど、めっちゃいい人たち(しかもヤンキー)っていうのがツボです。ギャップ感。

「できるかできないかじゃねえ!やるんだ!」「無理だ!人前で踊れるくらいなら引きこもりになってない!」という、ちぐはぐ過ぎるやりとりに爆笑。


何といっても後半の巧のフラッシュモブを引き連れたニート告白&プロポーズが見事でした。鷲尾を交えて弁解している巧の「えっ!もうそんな時間か!」からの焦りながら早口でニートであることを開き直る告白が草不可避。

「僕のパートが来ちゃうじゃないか!」と言う巧の後ろで楽しそうに踊る島田兄妹とモブと、巧の開き直りに対して全力でマジレスつっこみし続ける鷲尾。

ダンスパートが来て、全力で踊り始める巧。なにこれやばい。ハセヒロという役者が未知数すぎてやばい。

ダンスが終わってもまだ口論し続ける巧と鷲尾。「働け」と言う鷲尾に対して「仕事というのはそんな甘っちょろいもんじゃないんだ!仕事をなめるな!」ニートを極め過ぎてニートの境地に達した巧による名言かもしれません。


「養ってください」と土下座して願いを乞う巧。そして一緒に土下座する島田兄妹。なんなのこの兄妹。かわいいしいい人すぎる。その後の「こいつなりに一生懸命踊ったんだし」と謎フォローをする島田兄。笑いすぎてお腹いたい。

そこからの、巧の開き直ったワンマンショーが秀逸でした。名言だらけ!

「人間には色んな生き方があっていいんだ!」「女には外で働かないという選択肢が立派に与えられているのに何で男には与えられないんだ!男が永久就職したっていいじゃないか!」「人の生き方にエラーなんてないんだ!」「幸せは人の基準で決めるもんじゃないんだ」「君たちが善だの正義だのと言ってることは所詮世間が作っている倫理観の受け入れに過ぎない」

よくぞこんなセリフを月9で…。問題提起をドラマのセリフとしてコミカルに叫ばせる脚本、演出。素晴らしいです。ああ、ドラマっておもしろい。


その後、好き放題言ったことを後悔してヨロヨロと依子の元へ駆けつける巧。

「家事育児はまかせてくれ」「小遣いも少しでいい、本当に金がかからない」と巧が依子にアピールしていましたが、実家で恐らく10数年も母親に甘えてぬくぬくとニート生活を楽しんでいた巧がちゃんと家事育児ができるとは私は思えません。朝からピザ頼もうとする巧だし。古沢さんは前作リーガル・ハイでも「人間の本質は変わらない」という軸が根底にあったので、ブレないキャラクターを勝手に期待しています。


しかし何度も土下座して「お願いだ、お願いだ、僕を助けて、助けてよ」と依子にすがり付く巧は見事でした。無表情を貫く杏ちゃんもすごいけどこんなにダメな役が似合うハセヒロもまたすごい。


巧を拒否した依子は「父がまた泣くから」と言いましたが、依子が交際や結婚を意識したのは父(松重豊)に対する親孝行の思いから来てるんですよね。

依子は国家公務員で愛国心も強く社会に貢献したいという思いも強い。だからニートの巧を「深刻な社会のエラー」と厳しく言及しましたが、その愛国心は公務員である父譲りのもの。

依子の父は優しく理解力もあり、従来の父親像からはかけ離れています。父というより母的存在で、依子の融通の効かない性格もライフスタイルも尊重するというキャラクターです。よく泣くし、料理もするし、妻が早くに亡くなって一人で頑張ってきたのかなーと思えてきます。そんな父を見てきたからこそ、依子は人一倍父親思い(感情を表に出さないのでとてもそうは見えないけど)なんじゃないかと勝手に思ってます。


依子は父子家庭で、巧は母子家庭です。次回は巧がなぜ高等遊民という生き方を選択したかという過去に迫るようですが、逆に言えばなぜ巧を10数年も母(風吹ジュン)は放置してきてしまったのか、ということでもあります。

親子の不均衡というか、娘には勝てない父、息子を甘やかす母、それによって子供の性格やライフスタイルに大なり小なり影響が出てくる現状を描くのか。今後の展開からも目が離せません。

巧が高等遊民になった背景も気になりますが、依子の妄想によって出現する母(和久井映見)の存在も気になります。このあたりが依子の父への思いに関係しているのではないか…と勝手に考えていますが、どちらにしろ依子も巧もそれぞれの親達も、親子関係において何らかのエラーを抱えているのかと思ってしまいます。


余談ですが、私はリーガル・ハイ第8話の天才子役・安永メイとその母親との確執を描いた話が最高に痛快で、かなり好きな話だったりします。それまでのドラマでは常識だったであろう「親子は喧嘩しても底には愛があるし仲良し」という展開を覆してくれたので、古沢さんのいい意味で先が読めない展開には期待してしまいます。

前回の感想に対して多くのはてなユーザーが今後の展開を予想していましたが今の視聴者は斜に構えている人が多く「お約束展開」には飽きてしまっているように思います。だからこそ、巧のニート話を後半まで引っ張らずにまさかの第2話で早々にネタ晴らしする展開がとても良かったです。

とはいえ個人的には、最終回が「お約束展開」であろうがなかろうが、結局はその過程を楽しんだもん勝ちだと思うので、斜に構えずにドラマの1話1話を楽しんで視聴したいと思います。来週も楽しみです!

















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