【シュミレーションゲーム式SS】今日の終わり

こちらはnoteの下書きのURL共有機能を使ったシュミレーションゲーム風SSになります。

　夜深まる少し前に、帰宅。

　鍵が音を鳴らして開いた瞬間、少し息が楽になったのを感じる。この瞬間は歩きながら考えていた仕事のこととか、今日の失態とか、上司の顔とかがスッと消える。帰った、という充足感だけが身体中を満たすのだ。

　とにかく今日も帰ってきた。明日のこと何も考えられなくても、帰りはした。しかしそれも一瞬で、玄関の敷居を跨いでも、ドアを開けても外と対して変わらない、夜に染まったワンルームが広がるだけ。

　迷うことなく手を伸ばし、パチリと電気をつける。眩い光に少し目を閉じかけるが、すぐに慣れて短い廊下を見下ろす。右には朝のドタバタの名残りのままのキッチン、左にはトイレ、すぐ隣がお風呂場。そして短い廊下の先、玄関先の光でさえ大して届かない自分の部屋がある。

　暗闇に呑まれるような感覚から意識して自分を引き戻す。何もしたくない気持ちが高まってきているが、何もしないわけにはいかない。自暴自棄に片足を突っ込みかけている自分の精神を、明日に繋げるかはこの部屋にいる自分一人にかかっていた。寝る時間を思えばそんなに時間もない。明日も仕事だ。

　カバンを下ろし靴の足先で踵を踏むようにして、ぞんざいに靴を脱ぎながらこのまま何から始めるかを考えている。

　といっても選択肢は限られているし、毎日ルーティーンはほぼ同じようなものだけど。

▶︎キッチンに立つ
▶︎お風呂場に行く
▶︎自室(寝室)に向かう