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ゆえ
2018年10月26日 13:12
「知ってる? 今日は満月なんだ」 古めかしい応接室には赤褐色の暖かい光が落ちている。閉められたカーテンの、その分厚いドレープの隙間から窓の外を覗き込んで、『魔女』はなぜか楽しげにそう言った。この部屋には、自分と、『魔女』と、猫が一匹がいる。他にも人はいるはずだが、今日はここに現れるつもりはないらしく、誰が来るという気配も感じられなかった。 「ふぅん……で?」 そっけなく答える