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星のような君と、恋心を忘れた僕。
自室の天井が霞んで見えて朝を迎えた。
「あぁ、そうか、もうこの世界に君はいないのか」
また僕はあの笑顔を夢で見る。
これで何度目の夢なのかもう数えきれないけれど、いつまでたっても忘れられない。
星みたいな笑顔を。僕にしか見せなかった些細な笑い。
静かに口許に弧を描くそんな君の表情。
僕はまだ過去に縋ることしかできないのかと自分が自分で嫌になる。
情けない話だとみんな笑うかもしれないけれどまだ僕は大切に仕舞い込んでいる。
あれから随分と年月を重ねたというのに。
君の死が僕の日常から色を抜いた。
あの時、僕は"好き"という感情を忘れてきたらしい。
君の墓場にこの感情も一緒に置いてきたんだろう。
恋愛をしてみたい、また誰かを好きになってみたい。
そんな気持ちはあるけど、もう僕の生きる今に彩りはない。
でも、まだ僕は生きている。
君はもういないけれどもう少しだけ縋らせてくれないか。
原案・ 執筆:柚月
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