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暑さで魘されて

きみは冬みたいな女の子だった。だから冬が好き。
暑さに脳をやられてしまってぼーっとしている
とまりますと書かれたボタンを押せなくていつも降りるところをなんとなく見ていた。
どうやったらお団子うまく結べるのかなあ?と髪を結んでいた夏前の、半袖の、あの娘に会いたいです。目の前を通りすぎたおばあちゃんが赤色の日傘をさしていて、君の日傘が赤色だったことを思い出した。夏が嫌いだ。夏が大嫌いだ。
ふと、自分がつまらない人間なんじゃないかと不安になって入れたマッチングアプリでつまらないに殺されそうになって退会した。よかった、よかった。まだわたし、いつも通り、だよ。運命じゃないからやらないという君の言葉を大切にしていた私への自傷行為。運命なんてねーよ。無かったよ。面白くないからやらないだけ。綺麗な言葉で誤魔化してんじゃねえよ。いちばんかわいいときのわたしってどうやってんだっけ。赦して、とまた朝まで泣いた。
季節が変わる度にアプリで知り合った人を連れてくるママのこと尊敬しちゃう。でも本当はつまんないくらいが楽だって事も気付いてた。
「タメ口で喋ろう笑」とかそんなありきたりなことしたくない、しない。どろどろに溶かされて、君かアタシかわかんなくなったあとに、もう外暗いね。って初めて敬語が外れる時がたまんないのにね。
数回読み返してやっと意図が汲み取れる文章じゃないとわたしもうきもちよくなれない、顔採用のアルバイトしかしてこなかったし、可愛いですねって褒められてもうれしくない、そこら辺と比べないで。
感覚が違う同じ趣味、君と同じ作者が好きなちがう人、ただ心がしめつけられるだけで何の意味も無いね。君が好きな映画を観て、それを伝えて、君が、あのシーン海外ではスラングの意味合いがあって、とか詳しく教えてくれる時間が何よりも楽しかった
全員しょうもないと見下すとき、やっと、わたしがあの時のあなたに近付ける気がして、そんな気がして、ずっと、変われない。変わりたくない。
当たり前がちょっとおかしいみたい。
太陽の下を歩いて少しの目眩に襲われるとき、そんなことを少しだけ思う。誰かの手で造られた縁が酷く造的に見えた、愛って衝動に似てるから。
華奢で可憐で妖艶で世界でいちばんかわいい女の子の君が、笑っていた。あの笑顔を見たあの日にわたしは魔法にかけられて、取り憑かれて、輝いて。
一生に一度のきらめきと爆発。花火みたいに散っていった。線香花火間違えて水に入れちゃった、と仕方ないきみがぼくの夏でした。
一緒に飲んだ瓶のコーラが冷たくて美味しくて。
夏はどこか懐かしい気持ちになるねって言葉が現像して気付くフラッシュを焚き忘れた写真みたいで。
夏なんてなくなっちゃえばいいのに。




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