太宰治・人間失格の考察
この世には、絶対にばれない嘘がある。それは、自分がどう思っているかを偽ることだ。
もしあなたが目の前の人を殺したいほど憎んでいても、笑顔を貼り付け、技術の親切さで以て接していれば、相手には決してわからない。自分を好いてくれていると思った相手は、表面的には関係性を続けながらも、実は心の中であなたに嫌悪を向けているかもしれない。言葉で「あなたのことは嫌いじゃありません」と告げられれば、それ以上は言及できない。人の心は、当人だけがその真意を得る。
嘘は必ずしも悪い行為ではない。