花鳥風月

夜は短い。夜は怖い。夜は儚い。
朝が、次の日が、来るのが怖い。否が応でも朝はやってくる。
朝が攻めてくる。おはようございます。外では始まりを告げるが如く鳥が鳴く。
朝が身体を蝕んでいく。朝を抑えられない。今日も一日が始まる。

夜は短い。夜は寒い。夜は暗い。
夜は来る。待ってましたと言わんばかりに迎え入れる。
ようこそこんばんは。夜風が身体を包む。一瞬、全てを忘れる。
夜が更けていく。気付けば、朝日が昇る。夜は朝には勝てないのか。
また一日が始まる。

夜は短い。夜は美しい。夜は弱い。
朝が夜に覆いかぶさるようにして、姿を現す。しぶとい奴め。
朝が来るから、夜は来る。花は咲くから枯れる。
時の流れには逆らえない。それでも夜は耐える。精一杯耐える。
負けるな。お前は強い。

夜は短い。夜はしぶとい。夜は眩い。
見るもの全てが幻想的に映る。夜のせいか。朝があるから夜の価値が生まれる。
少しだけ朝を好きになってみよう。まずは迎え入れる準備だ。朝は来る。
今夜は月が綺麗だ。

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